令和5年度第4回ワークショップ『ビジネスの視点で多摩地域の魅力創出!』その1 | 多摩イノベーションエコシステム促進事業
令和5年度第4回ワークショップ『ビジネスの視点で多摩地域の魅力創出!』その1

令和5年度第4回ワークショップ『ビジネスの視点で多摩地域の魅力創出!』その1

コミュニティレポート

 「多摩地域の魅力は何だろうか」「多摩地域の魅力を強化・発信し、ビジネスにするにはどうすればよいのだろうか」
 こうした課題に対する取り組みに向けた交流促進を目的として、令和5年10月に、多摩地域の魅力創出や課題解決に向けたパネルディスカッションや、多摩の魅力創出を題材としたビジネス化に向けた意見交換を行うワークショップを開催しました。ワークショップでは、「安心・安全」「観光・レジャー」「コミュニティ活性化」の3つのテーマごとにグループに分かれ、ディスカッションを行いました。
 この報告では、当日のイベントの様子や参加者からのご意見を紹介します。

【イントロダクション】

―全体説明―

 まず初めに多摩地域の魅力と課題について事務局から説明いたしました。多摩地域には、「東京都の一部でありながら、豊かな自然を有しており多様性があること」「都心からのアクセスの良さ」「自然や民間テーマパーク、地域ごとの歴史手文化財等、多種多様な文化・娯楽がある」「観光客の回復」という魅力があります。
 その一方で、多摩地域には「少子高齢化」「マンションなどの老朽化や空き家の増加といった住環境の再構築」「地域人口の減少」「大規模工場の撤退、農業従事者の減少などによる産業構造の再設計」といった課題があります。
 これらの多摩の魅力や課題を踏まえて、これから多摩地域はどのようなことに取り組まなければならないのか、考える必要があります。

―パネルディスカッションの詳細―

パネラー:
嶂南 達貴 氏(Scheme Verge株式会社 代表取締役CEO)
白石 将之 氏(立川商工会議所)
木嶋 雅史 氏(一般社団法人 立川観光コンベンション協会)

ディスカッション内容:
 パネルディスカッションでは多摩地域の魅力を引き出し拡大するための着眼点・その考え方などについてパネラーから意見をいただきました。
 まず、「多摩地域への観光需要を創出していくために、どのような多摩の魅力を伸ばしていくべきか」という問いに対しては、白石様より、立川駅の南口エリアへの誘因が必要であること、嶂南様からは東京全体を考えた際のリスクヘッジの場所、他と異なるライフサイクルを創り出せる場所といった多摩地域がどうなるべきかといった視点で考えることが必要だという意見をいただきました。
 さらに、「多摩地域の各エリアでの課題・ニーズに対してどのようなことができるのか」という問いに対しては、白石様、木嶋様より観光客が行く意味を持てるような施設や、行ってみたいと思うような魅せ方が必要との意見をいただきました。
 そして、「多摩地域内外の人や企業が協業し、オープンイノベーションを起こすために必要なこととは何か」という問いに対しては、嶂南様からは何でもやってみること、そして、都心では作れない多摩地域独特の世界観に着目することがあげられました。また、白石様からは多様な主体にアプローチし続け、新しいコミュニティに参画し、働きかけることの重要性、木嶋様からは過去の取り組みの効果測定をし、定性評価を含めた関係者との共有により、新しい取組のメンバーに共通の目的意識を持ってもらうことの必要性をご説明いただきました。
 最後に、「今後、多摩地域はどのような地域になっていくのが良いか」についてご意見をいただきましたところ、皆様より、移住地・観光地として選んでもらえる地域になってほしい、多くの方々に多摩地域に来てもらえるような魅力あふれる街になってほしいとのご意見をいただきました。

【各テーマのディスカッションの様子】

―観光・レジャー―

<テーマ概要の説明>

 観光業は、旅行業、交通産業、宿泊業、飲食産業、旅行関連産業等、幅広い分野を包含した産業であり、我が国に大きな経済的影響を与えており、地域レベルで見ても地域経済を支える産業として重要であります。
観光のバリューチェーンは、「タビマエ」「タビナカ」「タビアト」に分類され、地域の観光協会や公共交通機関、ホテルや地元の商店街など、様々なステイクホルダーが存在します。
 多摩地域を細かく見ていくと、西多摩エリアは多摩川や秋川渓谷等の自然が豊富であり、北多摩南部エリアは井の頭恩賜公園、三鷹の森ジブリ美術館等の人気スポットがある等、エリアごとに特色ある観光資源を有していることがわかります。
 このように多摩地域には観光資源が豊富にありますが、その一方でDX対応やアクセス・回遊性といった課題が解決されておらず、十分にその魅力を発信し、集客できていないのが現状です。
 こういった課題への対策として、例えば、広島県尾道市、愛媛県今治市、上島町ではレンタサイクルを軸としたしまなみ海道の活性化事業を促進し、位置データや利用者属性などのデータを用いることで、スマホアプリを通じておすすめ情報を通知することで、アプリ利用者の行動変容を促すほか、事業者間の連携や周遊・消費拡大を図っています。

<ディスカッションの様子>

 ディスカッションでは多摩地域の魅力として、「自然」「交通の利便性」「祭りやアニメなどの地域ごとの特色」等が挙げられました。一方、多摩地域の課題としては、主に「知名度不足」「観光地間の連携不足」等が指摘されました。「知名度不足」の解決策として、多摩地域の名称を外国人にも検索してもらえる名前でブランディング化をはかったり、外国人富裕層をターゲットとした体験型プランの企画のほか、SNSでの発信強化、区部在住者に向けた多摩地域の魅力発信などの提案がありました。また、「観光地間の連携不足」の解決策として、回遊性を意識したパッケージツアー(特に中央線や京王線、小田急線が通らない南北のライン)の企画や、観光協会・自治体が他地域の魅力を把握することが必要ではないか等といった提案や意見交換が行われました。

―コミュニティ活性化―

<テーマ概要の説明>

 本テーマにおいては、自治会や町内会、消防団など地域性のあるコミュニティを「地域コミュニティ」と定義して議論を行いました。地域コミュニティは生活に関する相互扶助、伝統文化等の維持、地域全体の課題に対する意見調整といった役割を担っていますが、多摩地域においては高齢化、少子化、空き家の増加といった課題が存在するため、これらの課題を踏まえた地域コミュニティの活性化について取り組む必要があります。
 地域コミュニティの活性化の事例は様々な地域であり、例えば、東京都江戸川区ではアプリによって町会・自治会と地域のボランティアのマッチングを促す仕組みを構築した事例や、兵庫県たつの市がセコムと連携し、テレビとセンサーによる高齢者見守りシステムを導入した事例などがあります。

<ディスカッションの様子>

 ディスカッションでは、子育て世代の多さから子供を通じたコミュニティや大学に起因するコミュニティなど、同年代間でのコミュニティ活動が活性化されているという声が上がりました。一方で、そういったコミュニティ形成のきっかけがない方や、高齢化によってコミュニティ活動が少なくなり、周囲との関係が希薄になる方が増えていること、コミュニティ同士の連携がないことが課題として挙げられました。
 このような課題を解決するためには、誰にでも共通する「食」のようなテーマ等、幅広い世代が集まれるようなコミュニティを形成すること、企業や医療福祉団体など、より大きな団体をコミュニティ形成に参加できるような仕組みづくりなどが必要である等といった意見交換が行われました。

―安心・安全―

<テーマ概要の説明>

 内閣府によると、安心・安全とは増大する脅威と不安に対応し、物理的・心理的の両側面から生命・財産や諸活動、社会システム等幅広い対象を守る取組であり、その対象は、①地震や台風などの自然に由来する脅威、②テロなどの犯罪行為や過失に基づく事故に分類されます。本テーマにおいては①について議論しました。
 世界的な気候変動によって、自然災害の件数が増え、被災者や経済損失額も増加傾向にあります。日本では、平均気温の上昇幅が世界平均よりも高く、平均気温の上昇と相関するように全国的に大雨や短時間強雨の発生頻度も上昇しています。
 多摩地域は山林やがけ地など急峻な土地が多い地域や多摩川、秋川などの河川が通っている地域があります。このような地域においては台風や大雨によるがけ崩れ、河川の氾濫といったリスク、さらには大規模地震発生のリスクもあり、防災に対する備えが必要となります。
 このようなリスクに対する取組事例を挙げると、例えば、福島県広野町では浸水予測AIを導入し、その予測データの活用により、浸水対策や避難経路確保の実施といった取組が行われています。

<ディスカッションの様子>

 ディスカッションでは多摩地域における課題として、水害への対策が不十分なことや、災害発生時に防災無線など情報が届かない地域があるといった点が挙げられました。また、多摩地域は子育て世代から高齢者まで幅広く人口層が存在するため、それらのコミュニティの形成を促し、コミュニティ内で正確な情報共有を行う必要があるとの指摘がありました。そのためには、関係性づくりのための共通話題の形成やコミュニティへの入りやすさが大事であって、コミュニティ形成・入会を促進させるための取組が今後の多摩地域での防災に必要である等といった意見交換が行われました。

【交流会】

 自由参加の交流会では、さらに深い情報交換やディスカッション、名刺交換、事業内容の紹介や協業へ向けた議論など活発な交流が行われました。

【参加者の声】

ご参加いただいた方の声を一部ご紹介致します。

  • 多摩地域はとても魅力的な地域なのにあまり発信できていないことに気づいた(スタートアップ)
  • 多摩地域には観光資源などが豊富にあるため、これら資源をうまくブランディングすることが多摩地域の魅力創出に必要であると思った(中小企業)
  • 既存のものをつなぎ合わせるだけでも魅力の一つとなるため、既存の魅力をどう編集して発信するかが大事であると気づいた(中小企業)

多くの方に満足いただけるイベントとなりました。
今後もコミュニティ会員向けにイベントを開催していきますので、
ご関心のある方は是非ご入会ください!

コミュニティの入会概要と申し込みページ
https://tama-innovation-ecosystem.jp/community/

コミュニティで今後予定しているイベント
https://tama-innovation-ecosystem.jp/event/

多摩イノベーションコミュニティの詳細や
開催イベントに関する情報は下記ページにてご確認ください。

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