八王子から日本の製造業を支える企業として、ものづくり系スタートアップを積極支援 | 多摩イノベーションエコシステム促進事業
八王子から日本の製造業を支える企業として、ものづくり系スタートアップを積極支援

八王子から日本の製造業を支える企業として、ものづくり系スタートアップを積極支援

株式会社 菊池製作所 代表取締役 菊池 功

本事業では、地域内外の中小企業・スタートアップや大企業、大学等が連携して、地域の課題解決を図るためのプロジェクトや、多様な主体が交流できる会員組織(コミュニティ)の立ち上げなど、イノベーション創出に向けた取組を進めています。このインタビュー連載では、多摩地域のイノベーションをリードする注目企業をご紹介することで、皆様に多摩地域の魅力を発信していきます。

                                                                                                       

株式会社菊池製作所の主力事業は、時計、カメラ、自動車や医療機器メーカーなどから請け負う試作品の製造や量産設計です。その他に最近力を入れているのは、ものづくり系ベンチャー企業への支援。開発・試作・量産のものづくりだけでなく、販売、保守、運用サービス、出資など、ベンチャー企業の事業化にかかる包括的な支援を行っています。創業者である菊池功社長は、ベンチャー支援を成長の原動力とするソフトバンクグループを引き合いに、「ものづくりのソフトンバンクグループを目指す」と話しています。

インタビューにお答え頂いた菊池功社長

八王子はものづくり系企業の拠点が多いという地の利を生かす

会社の設立経緯を教えてください

菊池:福島県の飯館村出身で地元の中学を卒業後に上京し、カメラの開発会社に就職しました。その会社が新宿から八王子市に移転しました。
 私は1970年に独立し、八王子市内に仕事場を兼ねた一軒家を借りて、メーカーから請け負う試作品の製造や量産品の設計の事業を始めました。家内工業のような感じです。
 高度成長期ということもあって仕事は順調でしたし、なにより地の利にも恵まれていました。八王子は大手のカメラ・精密機器メーカーをはじめ、ものづくり系企業の拠点が多く、顧客先と緊密な関係を構築できたからです。そして76年に菊池製作所を設立しました。

成長の原動力は、先端技術の開発に携わること

独立当時の事業環境はどうでしたか

菊池:当時は国内だけで7社ほどのカメラメーカーが乱立する時代。各メーカーが新製品の開発を競っていたため自社への依頼も多く、本当に多忙な日々を送りました。やがて胃カメラやコピー機の開発に携わるようになります。こうした先端技術に取り組むことができたのは、会社にとって大きな財産でしたね

自社単独で商品を開発したいという機運が高まる

会社の成長に伴い、新たな事業スタイルを取り入れたようですね

菊池:新製品の開発過程では金型の設計や生産も手掛けていますが、一連の仕事は表に出てこない、職人気質のような仕事です。1990年代から2000年代前半にかけては、携帯電話やデジタルカメラの開発競争が盛り上がって、試作品の受託が拡大。業績は好調でした。ただ、最先端の領域で仕事をしているというプライドがあるからこそ、「受託だけではなく、自社で新しい商品を市場に出したい」といった機運が社内で高まったのも事実です。

出資先会社製品および同製品をベースに開発した自社製品(自走型噴霧・配膳・案内ロボット)

高齢者向けステッキを商品化したが、全く売れず

自社開発は順調に進んだのでしょうか

菊池:うまくいきませんでしたね。淘汰された商品ばかりですよ。
 そのひとつが高齢者用のステッキ。軽量化を図るためファイバー製とし、自動車が通るときはライトを照らして自分の存在を知らせたり、具合が悪くなった時はサイレンを鳴らすなどの機能を盛り込みました。自信を持って世に送り出しましたが、いかんせん値段が高く、マーケットを構築できませんでした。 他にも、コーヒーの生豆を焼いて粒状に砕きドリップする機器は、素人ならではの知識の浅さを露呈しました。薄皮を除去しないと苦みが残るということを知らずに商品化してしまって。その工程は自動化できなかったため、結局、製造した500台はおじゃんですよ。

介護施設などで活用するマッスルスーツはヒット商品に

どのような形で自社開発にかかわる課題を解決しましたか

菊池:大学との連携です。教授は独自のアイデアを持っていますが、マーケティングのノウハウは乏しい。しかし弊社と組めば、過去の試作品の受託や自社開発の経験を基にコストを抑えた設計が可能になり、実用化に弾みがつくと考えました。代表的な事例が、身体に装着し空気圧を動力として使用者の筋力を補い、作業負担を軽減するマッスルスーツの商品化です。東京理科大の小林宏教授との共同出資で、株式会社イノフィスを2013年に設立し生産を開始しました。当初は80万円もして売れなかったのですが、弊社もコストダウンに寄与、その後は量産メーカーとも連携して、現在の価格は約15万円となり、介護施設や農業などハードな作業が求められる領域を中心に2万数千機の販売実績があります。

出資先会社イノフィスのパワーアシスト製品「マッスルスーツ」

社会に貢献するスタートアップ企業に積極投資

スタートアップ企業への投資に力を入れているようですね。その理由を教えてください。

菊池:日本ではものづくり系スタートアップ企業に対する信用度がまだまだ低い。せっかく素晴らしい製品を開発したとしても、なかなか相手にしてくれません。しかし、当社が開発・生産で関与していれば、信用度は高まります。このため30社近い企業に投資しています。スタートアップから得られる収益を本業に並ぶ収益とする考えです。

 支援の基準は、社会貢献できる会社に成長するかどうかです。支援先は、ソフトクリームを自動で作るロボットなど調理系システムを開発するコネクテッドロボティクス株式会社や水中ドローンの株式会社FullDepth(フルデプス)など、バラエティに富んでいます。中には新規株式公開(IPO)を果たした企業もあります。千葉大発スタートアップでドローン開発を手掛ける株式会社ACSLです。キャッシュが乏しい時期に菊池製作所に生産を委託したことで、初期のステージを乗り越えて成長しました。

 目指すのはものづくりのソフトバンクグループ。だけど、投資金額は大きく違いますよ(笑)。

多摩はシルバー産業にとって最適な土地

産業という観点からの多摩の魅力は何ですか

菊池:高齢者向け施設が充実しており、シルバー産業にとって最適な地だと認識しています。弊社をはじめ、高齢者の暮らしに貢献するものづくり企業が多く、ユーザーの声を迅速に反映できるからです。八王子は、富裕層が多い東京都心部や横浜から約1時間と交通の利便性もよい。地の利を生かして、人の流入が進み、より多くの高齢者向け機器が利用される仕組みが整備されれば、多摩地域はきっと、シルバー産業の一大拠点となるでしょう。

多摩川を眺めながらの豆腐・湯葉料理は最高

多摩のお気に入りの場所を教えてください

菊池:高尾山や奥多摩をはじめとして、素晴らしい場所が多い。時間があれば足を運ぶようにしています。お気に入りの店は、日本酒「澤乃井」の製造元、小澤酒造株式会社が運営する「ままごと屋」(青梅市)。多摩川のほとりに店を構えており、川を眺めながら食べる豆腐・ゆば料理は絶品ですね。その一帯の清流ガーデン「澤乃井園」も、自然探索やハイキングの場としてお薦めです。八王子に住んで半世紀強。住めば都です。

会社情報

会社名 株式会社 菊池製作所
設立 1970年4月
本社所在地 〒192-0152 東京都八王子市美山町2161-21
ウェブサイト http://www.kikuchiseisakusho.co.jp/
事業内容 各種加工・金型製造からメカトロニクスまでの広範な技術課題を「一括」し、開発設計から金型・試作品製作、量産品製造、アッセンブリ、検査までの工程を「一貫」する。お客様のものづくりに最適なプロセスを提供し、高精度・低コスト・短納期などの課題に応えて市場への迅速な新製品投入を支援している。

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