Please note that our machine translation system does not guarantee 100% accuracy. The following limitations may apply:

デザイン×技術で価値を創出。ゲーム開発も手掛ける吉祥寺のクリエイティブ集団

株式会社CRACKIN(クラックイン)

代表取締役社長 小川 佑太

インタビューに答えていただいた代表取締役社長の小川佑太氏

 本事業では、地域内外の中小企業・スタートアップや大企業、大学等が連携して、地域の課題解決を図るためのプロジェクトや、多様な主体が交流できる会員組織(コミュニティ)の立ち上げなど、イノベーション創出に向けた取組を進めています。このインタビュー連載では、多摩地域のイノベーションをリードする注目企業をご紹介することで、皆様に多摩地域の魅力を発信していきます。

 Webサイトやアプリ開発を基盤に、自社IPゲームの開発を行う株式会社CRACKIN(クラックイン)。受託と自社開発を両輪に、クリエイティブと技術を掛け合わせながら、吉祥寺を拠点に新たな価値創出に挑んでいます。今回は、代表取締役社長の小川佑太氏に、同社の事業内容や強みについて話を伺いました。

現場仕事からデザインへ。自由な発想を育てたキャリアの原点

まず、起業前はどのような仕事をしてきたのか教えてください。

小川:中学卒業後は、ずっと現場系の仕事を転々としてきました。大工、鳶、配管工、あとは酒屋さんなんかでも働きましたね。16歳くらいから、いろいろな職種を経験してきました。その後、独学でデザインの勉強を始め、最初に入ったのは、アパレル系のグラフィック制作の会社でした。Tシャツのデザインなどを手がけていたのですが、「このままずっとTシャツだけでいいのかな」と思い始めて。それで、Web系にも興味が湧いてきて、そちらの分野にシフトしていきました。

様々な仕事を経て感じるのは、自分の中での働くことのベースが、自由な発想にあるということなんです。今やっているクラックインでの事業も、型にはまらないというか、柔軟なスタイルでやっている部分があるのですが、それはおそらく、過去のいろいろな仕事の経験が影響してるのだと思います。

Webの枠を越えて挑戦するために

どういう思いでクラックインを立ち上げたのですか?

小川:前職では、デザインリーダーや新規事業部長といった立場を任されていました。ただ、事業領域がWebに特化していたこともあり、その枠を越えた挑戦が難しかった。たとえばアパレルに興味があっても、Webの会社として本格的に取り組むのは現実的ではなくて。自分としては、もっと自由に、スピード感をもっていろんなことに挑戦したかった。だったら自分でやろうと思い、独立を決めました。

加えて少し特殊な事情もありました。当時、友人でもあるエンジニアのルイがポルトガルに住んでいて、彼のビザをサポートする必要があった。そのため、最初の法人化には、ルイのビザ支援という意味合いも含まれています。

ルイさんとは、どんなつながりだったのですか?

小川:前職時代に、彼が2週間ほどインターンとして会社に来ていたことがあり、たまたま席が隣だったのがきっかけです。もう十数年前になりますが、その後も連絡を取り合い、彼がポルトガルに戻ってからも関係は続いていました。そうした流れの中で、自然と一緒にやることになりました。

エンジニアを務めるルイ ティシェイラさん(左)

Web開発から自社IPゲームまで、多角的に展開

現在はどのような事業を手がけているのでしょうか?

小川:主力事業は、Webサイト制作やアプリ開発など、いわゆるWeb領域をベースにした開発案件です。もともとWebに強みを持っていたこともあり、システム開発やアプリ開発といった、Webとつながる形で全体を請け負うグロス型の案件が多く、売上としてはそこが中心になっています。

ただ、会社として思いを持って手掛けているのは、自社IPの開発です。代表的なタイトルが、2024年11月21日にNintendo Switch向けにリリースした、タイムアタック型の障害物コースゲーム『SAMUZA』。この作品では、ゲームそのものだけでなく、キャラクターを軸にした世界観づくりにも力を入れています。登場するキャラクターは、自社で企画・制作したもの。デザインは僕自身が手がけました。モチーフになっているのは「サムズアップ(thumbs up)」、つまり“親指”。シンプルだけど、どこか愛嬌のある存在を目指しています。

このキャラクターを起点に、グッズやアパレルの展開も行ってきました。さらに、ブランドやVTuberとのコラボレーションにも広がっていて、専用のコラボスキンをデザインし、実際にゲーム内で動かす、といった取り組みもしています。単なるレースゲームにとどまらず、キャラクターを通じて世界観を広げていくこと。それが『SAMUZA』というプロジェクトの大きな特徴です。売上は正直まだまだですが、挑戦はやめたくない。だからこそ、チーム全体としても、自社IP開発に注力しています。

ゲーム業界出身者がいないことの“強み”と“狙い”

ホームページでも、ゲーム業界出身者がいないことを記載されていますが、それにはどのような意図があるのでしょうか?

小川:僕らのようにゲーム業界の外から入ってきたメンバーでつくるからこそ生まれるスピード感や自由さが、大きなメリットだと思っています。たとえば、コンシューマーゲームの開発現場は、すごく時間がかかるのが普通なんです。予算も大きくて、開発スパンが長くなるのが当たり前だったりする。もちろんそれはそれで高度なものづくりだと思うのですが、僕らのようなインディーでやっている開発体制だと、もっとライトに、スピード感を持って、トライアンドエラーを繰り返しながらプロダクトを育てていける。その柔軟さは大きな強みですね。

また、業界の常識に縛られず、ゼロベースで自分たちなりのやり方を選べるのも魅力です。一方で、業界ネットワークが最初からあるわけではないので、広報や販路づくりには時間がかかるというデメリットもあります。ただ、最近は信頼できるパートナーにも恵まれ、少しずつ業界との距離を縮められている実感があります。

異なる個性が集まった、少数精鋭のクリエイティブ集団

現在はどのようなメンバーの方が所属していますか?

小川:コアメンバーは8人ほど。人数は少ないですが、キャラクターが被らず、それぞれがはっきりした強みを持ったメンバーが集まっています。構成はデザイナー、エンジニア、ディレクターがバランスよく揃っていて、デザイン領域もWebから3DCG、キャラクターデザイン、イラストまで幅広い。エンジニア陣も実力派で、たとえばルイはポルトガルでシニアエンジニアとして現場を経験してきた人物。技術面でも大きな安心感があります。

メンバーの出身や専門は本当にバラバラですが、だからこそ少人数でも柔軟に案件に対応できる。たとえば僕が描いたイラストを3DCGデザイナーが立体化し、エンジニアが動かすといったように、デザインから実装までを数人で、一気通貫で進められる。Webサイトでも、デザインだけで終わらせず、システムやゲーム性のある仕掛けを加えることで体験の価値を高めていく。そうした+αの発想が自然に出てくるのは、このメンバー構成だからこそだと思っています。少数精鋭だからこそ、強みがそのままチームの武器になり、スピードとクリエイティブの幅につながっている。それが、このチームの一番の面白さですね。

災害対策トレーニングセンターとのコラボ

他社との協業事例があれば、ご紹介ください。

小川:現在、東京大学の生産技術研究所 災害対策トレーニングセンター(DMTC)と協業で、災害時に使われる特殊重機のパイロット訓練用VRシミュレーターを開発しています。

この重機は、一般的なユンボ(油圧ショベル)とは異なり、山岳地帯などの過酷な現場にも対応できる極めて特殊なマシンです。日本国内でも数が限られていて、しかも操作が非常に複雑なため、操縦できる人材が圧倒的に不足しているという課題があります。実際、大規模な災害が発生した際、たとえこの重機を国土交通省が保有していても、「使える人がいない」という状況が起きてしまう。その背景を受けて、災害時の即応力を高めるために、VRでの訓練環境を整備するというのがプロジェクトの狙いです。

またこの取り組みは、国土交通省のSBIR建設技術研究開発助成制度のプロジェクトにも採択されています。社会的な意義も大きい案件として、正式に位置づけられているんです。

DMTCとは、どのような役割分担になっているのでしょうか?

小川:今回の協業では、僕たちがVRシミュレーターのデジタル開発を担当し、DMTCには実地訓練に基づく知見や操作カリキュラムの提供をいただいています。「こういう場面ではこう動かすべき」といった専門的な判断や現場のリアルを共有してもらい、それを僕たちがプログラムとして実装するという形です。

ベースはゲーム開発の手法を活用しており、将来的にはこのシミュレーターをゲーム化して一般向けにリリースする構想もあります。単なる訓練ツールとしてだけでなく、この特殊重機の存在自体を知ってもらうという、啓発的な目的も含んでいるんです。

吉祥寺という街への愛着

拠点を吉祥寺に構えた理由を教えてください。

小川:吉祥寺で活動している理由は、もともと生活圏が近かったというご縁が大きいですね。実際に関わってみると、商店街との距離がとても近い街だと感じています。お祭りや街のイベントも多く、僕らもポスター制作やWebの更新など、デザインの面でお手伝いすることがあります。そうした関わりの中で、「吉祥寺が好き」という人の熱量を強く感じるようになりました。自分たちの仕事が、街を少しでも盛り上げる役に立っているなら、それは素直にうれしいですね。吉祥寺は、昔からの人と新しい人が混ざり合っている街でもあります。変化が激しい一方で、ちゃんと土台がある。そのバランスが、吉祥寺らしさなのかもしれません。

吉祥寺への愛着は、だいぶ強くなってきましたか?

小川:そうですね。地域の人たちと関わるようになってから、自然と愛着は強くなってきました。うちの娘なんて、八百屋さんなど商店街の方々に「おはよう!」といった感じで話しかけるんですよ。そうすると、みんなすごく可愛がってくれる。そういう日常があると、「この街に育ててもらっているな」という感覚が出てくるんです。気づけばこの街が好きになっている。吉祥寺は、そうやって人を惹きつける場所だと思います。

世界に認められるコンテンツを発信したい

最後に、今後の展望を教えてください。

小川:制作会社は日本にも世界にも本当に星の数ほどあります。その中で、ただの「一制作会社」で終わるのではなく、世界から認められるようなコンテンツを発信できる存在を目指していきたい。そこは、これからもチャレンジし続けたい部分です。それと同時に、バランスは本当に大事だと思っています。僕らは純粋なアーティストかと言われると、少し違う。ちゃんとお金が回って、メンバーがしっかり稼げて、そのうえで「めちゃくちゃ面白い状態」をつくる。その両立を目指したいんです。

今は本当に面白い時代だと思います。特別な立場でなくても、誰でも世界に向けて発信できる。きっかけはいくらでも転がっているし、あとは動くかどうかだけ。だからこそ、立ち止まらずに、これからもチャレンジングであり続けたいです。

会社情報

会社名 株式会社CRACKIN(クラックイン)
設立 2018年11月22日
本社所在地 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-26-2吉祥寺N22622F
ウェブサイト https://crackin.co.jp/
事業内容 ゲームコンテンツ開発/メタバースアプリ開発/AR・AIサービス開発/PV・CM・各種映像制作/Webサイト・各種デザイン制作