多数の大学が立地する多摩地域の特色を生かし、産学連携の理解促進及び機運醸成の場、新たな事業創出へと繋げていくために「産学連携」をテーマとしたワークショップを令和6年1月に開催しました。
キャンパスクリエイト・髙橋氏より大学と連携した事業創出や産学連携のポイントについてお話しいただいたほか、大学発ベンチャー・大学研究者による事業・シーズの紹介、紹介いただいたシーズに基づくビジネスアイデアの検討を行いました。また、東京農工大学と東京都立大学より産学連携や起業支援等に関する各大学における取組や支援策をご紹介いただきました。
この報告では、当日のイベントの様子を紹介します。
講演
ー産学連携のポイント -地元大学と取り組む事業創出- ー
株式会社キャンパスクリエイト 代表取締役 髙橋めぐみ氏
髙橋氏より「産学連携のポイント-地元大学と取り組む事業創出-」をテーマに、株式会社キャンパスクリエイトの成り立ちや事業紹介、コーディネーターの特徴、産学連携のポイントや具体的な事例についてご紹介いただきました。
多摩地域には多数の大学が立地している強みを活かし、研究室を気軽に訪問することや大学の潤沢な設備の活用、地方創生や新たな産業創出といった大学の新たなミッションを活用することが、産学連携を進める上でポイントであることをお話いただきました。また、産学連携を進める上での留意点として、共同研究開始前のトライアルの実施・検証が重要であること、共同研究後の製品化に向けて長い道のりがあり対応が必要であること等についてご説明いただきました。
パネルディスカッション
ー各立場から考える産学連携推進に向けたポイントー
株式会社キャンパスクリエイト 代表取締役 髙橋めぐみ氏
株式会社シーデックス 代表取締役 小原操氏
感性AI株式会社 代表取締役CEO 秋山正晴氏
モデレーター 事務局 伊藤
パネルディスカッションでは、産学連携に期待していたこと、苦労された点などについてパネラーから意見をいただきました。
まず、「どのようなことを期待して産学連携に取り組みましたか?当初期待していた通り、進みましたか?」という問いに対して、髙橋氏より企業側が研究者に対して「何でも答えてくれるだろう」という期待を持つ方もいるが、特定の分野に精通した研究者は企業が期待するすべてに答えられるわけではなく、その点にギャップが生じる事例があるとのお話がありました。また、小原氏からは、社内の技術者だけでは「漏れ」や「わかっていないこと」を産学連携により明らかになることが大きな成果であったというご意見がありました。
「当初期待していた内容に対して、ご苦労された点は何でしょうか?ご苦労された点に対して、どのように対応されましたか?」という問いに対しては、秋山氏からは各社の決済等に時間を要し、共同研究の時間が短くなったことで、思うような成果が出ない事例があることについてご紹介がありました。また、共同研究を進める前にスケジュールやアウトプットについて、議論することの重要性についても指摘がありました。
最後に、「産学連携に取り組みたいと考える方へのアドバイス」として、秋山氏からは共通のゴールを持ち、産学連携に当たっての注意点について理解することが重要とのアドバイスといただきました。小原氏からは、研究者が多忙であることを踏まえ、日々の課題を事前に確認事項として整理しておく等の事前準備が重要であるとのご意見をいただきました。髙橋氏からは、研究内容や専門性が合致するだけでなく、一緒に取り組みたいと思う人柄の先生と連携すること、また楽しんでプロジェクトに取り組むことがポイントであるとのお話をいただきました。
シーズのご紹介
今回のワークショップでは、大学発ベンチャーと大学の研究者より、事業概要や製品・サービスの内容、研究概要等についてご紹介いただきました。ご登壇いただいた大学発ベンチャー・研究者は、次のとおりです。
● 感性AI株式会社
電気通信大学の坂本研究室の技術をもとに、AIでクリエイティブなイメージを分析するマーケティング向けソリューション「感性AIアナリティクス」や円滑なコミュニケーションを創出する場を生み出す感性AI空間「FUWAKIRA」等についてご紹介いただきました。
● 一般社団法人 先端レーザ樹脂溶着技術・推進コンソーシアム
赤外線レーザと赤外線透過放熱体(ヒートシンク)を組み合わせて、同一の透明プラスチック同士がきれいなまま溶着するレーザ溶着技術についてご紹介いただきました。
● 株式会社クジーンラボ
設立の経緯や注力する事業、特に研究開発受託事業として取り組む内容についてご紹介いただきました。
● 株式会社HumTec/東京都立大学 長谷教授
専門とする人間機械システム工学や筋骨格解析に関する研究内容、筋骨格モデルに基づく受託解析等についてご紹介いただきました。
ビジネスアイデア創出に向けたワークショップ
ビジネスアイデア創出に向けたワークショップでは、5つのグループに分かれて意見交換を行いました。
大学発ベンチャー・研究者よりご紹介いただいた製品・サービス、研究内容に対して、参加者の技術・サービスと掛け合わせることで考え得るビジネスアイデアについて意見交換を行いました。活発な意見交換が行われ、いくつかのアイデアが生まれました。
ワークショップ終了後にも、ワークショップの中で生まれたアイデアの具現化に向けた打ち合わせを設定する参加者も多く、限られた時間の中でも中身の濃い意見交換が行われました。
大学における産学連携や起業支援等に関する取組紹介
ー東京農工大学が展開する企業支援、地域連携、グローバル産業創出の取組みー
東京農工大学 先端産学連携研究推進センター 特任准教授、主任URA 前畑英雄氏
東京農工大学の前畑氏様からは、まず2024年に創基150年を迎える東京農工大学のビジョンについてご説明がありました。次に、ビジョンに基づきBPキャピタル株式会社と共同で設立した認定ファンド「TUATファンド」に関する説明に加え、民間資金導入による取組、「食」に関する地域連携・起業支援施設の整備等の各種取組についてお話しいただきました。
ー産学公連携スペース開設、「TMU Innovation Hub」機能紹介ー
東京都立大学 管理部研究推進課 インキュベーションマネージャー 近藤幹也氏
東京都立大学の近藤氏より、まず多摩地域の拠点となる産学公連携施設となるTMU Innovation Hubについて、各施設・設備の概要についてご説明いただきました。次に、産学連携の仕組みや連携メニュー、起業支援の取り組みであるTAMA-LEAPについてお話をいただきました。
今回は産学連携をテーマにしたはじめてのワークショップとなりました。
多くの方の申込・参加をいただき、産学連携に対する関心の高さが伺えました。
今後もコミュニティ会員向けにイベントを開催していきますので、
ご関心のある方は是非ご入会ください!
コミュニティの入会概要と申し込みページ
https://tama-innovation-ecosystem.jp/community/
コミュニティで今後予定しているイベント
https://tama-innovation-ecosystem.jp/event/