有望な事業領域の探求とマーケットインの重要性を学ぶことを目的として第2回事業構想ワークショップを開催しました。
今回は、市場による事業機会の探索に向けた市場調査・分析に関する手法や、自社の強みの棚卸し手法について学ぶ講義・演習を実施しました。
この報告では、当日のイベントの様子や参加者の皆様からのご意見をご紹介します。
前回(第1回事業構想ワークショップ)の振り返り
はじめに、前回のワークショップの振り返りを行いました。
(第1回事業構想ワークショップの開催報告はこちら)
全3回にわたり開催する事業構想ワークショップでは、マーケットをより意識したアイデアの具体化に向けて、原体験の整理から共創方針・仮説の検討を進めていきます。
第1回事業構想ワークショップでは、前半にオープンイノベーションの基本概念やメリット、イノベーション創出の成功事例、今後取り組むにあたってのポイントをご紹介しました。後半では、第2回以降のワークショップで共創方針を定め、共創案を作り上げていく前段として、事業創出意欲を高めることを目的に、自身の原体験の振り返りを行いました。
第2回事業構想ワークショップ
第1部「市場調査による事業機会の探索ワークショップ」
第1部では、市場調査の意義や進め方、有益な情報源の紹介を行った後、具体例を用いて演習を行いました。
はじめに、「調査」の意義・目的として、綿密な調査を行うことで論理的な意思決定や建設的な議論を行うことができ、思い込みを排除してビジネスが誤った方向性に向かうことを避けられるという効果が期待できることを説明しました。また、新規事業を検討する際には、市場性・優位性・実現性について調査することが重要であることに触れ、新規事業に取り組む際の最大の失敗理由として「市場が存在しなかった」ことが挙げられている通り、顧客課題の解像度を高めるために、まずは市場性についての検証は最も重要な論点となっていることを紹介しました。
次に、調査の作業手順や調査結果の表現方法、調査で活用できる有力な情報源を紹介しました。調査作業においては、アウトプットイメージや求められる成果レベルの確認後、情報収集の方策や情報源について整理するといったリサーチプランの設計が最も重要であることについて説明しました。また、実際の情報源として、政策動向、業界動向、市場情報別に活用できる情報源についても紹介しました。
最後に、市場調査の作業手順及び紹介した情報源を活用し、参加者ご自身が関心のある市場等を用いて、外部環境と市場規模推移について調査・分析を行い、各グループで共有・ディスカッションを行いました。
第2部「強みの棚卸しワークショップ」
第2部では、自社の強みの棚卸しの意義と方法、新規事業の検討で調査・検証する論点やスタートアップ・中小企業における差別化戦略の重要性ついて詳しく説明しました。
新規事業を検討する際に重要となる市場性・優位性・実現性の調査のうち、優位性の創出に向けて強みの棚卸しが重要な手段となっていることを説明しました。また事業の競争戦略においては、経営資源で劣るスタートアップ・中小企業は「差別化集中戦略」をとることが定石であり、参入障壁の形成により高収益化を実現することが可能となります。差別化集中戦略が成功した事例として、植物由来のバイオマスを主な原料として新素材を開発するSpiber株式会社が、自社開発の糸を使用した高級パーカーをアウトドアウェア・メーカーと共同販売することで、価格勝負にならずに高収益化が図られている事例を紹介しました。
演習として、参加者自身の主要ビジネスについて、「インプット(調達/情報収集等)」「プロセス(加工・製造/情報解析・処理等)」「アウトプット(素材・製品/情報活用・精度等)」といったビジネスフロー別に整理しました。次に、整理した内容を、「技術・知財資源」「人材・組織資源」「生産資源」「販売資源」の4つの観点で棚卸しをすることで、視覚的に自社の強みを整理・理解していただきました。
交流会
ワークショップ後のネットワーキングでは、参加者の皆様がワークショップ内の内容をもとにディスカッションを行ったり、名刺交換や事業内容の紹介などを行っていました。中には参加者同士のビジネスの協業に向け、さっそく打ち合わせに向けた日程調整も進められる等、積極的な交流があり、盛り上がりを見せました。
参加者の声
ご参加いただいた方の声を一部ご紹介致します。
・改めて自社の強みを言語化する機会を得られ、自社紹介に活かせると感じました(中小企業)
・ワークシートに落とし込むことで、頭の整理を行うことができた(大企業)
・ワークショップを通じて強みを再認識することができ、また差別化が戦略上重要であることも再認識することができました(スタートアップ)
・市場調査を現在の課題としているため、その手法を体感できたことは今後の業務に大いに活かせていけると感じた(中小企業)
今回も多くの方に満足いただけるイベントとなりました。
次回ワークショップでは「早期アウトプットと早期改善」「マーケットイン思考の実践」を狙いとした講義・演習を通じて、ビジネスアイデア発想や自社に足りない部分の言語化を中心に取り組んでいただく予定です。今回参加された方も、今まで参加したことがない方でもご参加いただける内容ですので、是非お申込みください!
本年度も多数のイベントを開催していきますので、ご関心のある方はぜひご入会ください!
今後のイベントスケジュール
https://tama-innovation-ecosystem.jp/event/workshop-2024/3106/
コミュニティの入会概要と申し込みページ
https://tama-innovation-ecosystem.jp/community/