きめ細やかな配送で、多摩地域の物流を支える | 多摩イノベーションエコシステム促進事業
きめ細やかな配送で、多摩地域の物流を支える

きめ細やかな配送で、多摩地域の物流を支える

シースリーネットワーク株式会社 代表取締役 筒井 潔

 本事業では、地域内外の中小企業・スタートアップや大企業、大学等が連携して、地域の課題解決を図るためのプロジェクトや、多様な主体が交流できる会員組織(コミュニティ)の立ち上げなど、イノベーション創出に向けた取組を進めています。このインタビュー連載では、多摩地域のイノベーションをリードする注目企業をご紹介することで、皆様に多摩地域の魅力を発信していきます。

 シースリーネットワーク株式会社は、八王子市に本社を構え、多摩地域に根差した事業を展開する運送会社です。規模の小さな運送会社が、大手運送会社との競争のなかで生き残っていくために必要なことは何か。ベンチャー企業の10年以内における生存率が10%以下と言われるなかで、今年で創設10年目を迎えた筒井潔代表取締役に話を聞きました。

インタビューに応じていただいた代表取締役の筒井潔氏

運送業一筋の経験を生かして独立を果たす

シースリーネットワーク株式会社の設立に至るまでにはどのような経緯があったのでしょうか。

筒井:起業したのは40代に入ってからです。18歳から勤めた大手運送会社でドライバーから管理職までを経験をさせていただき、42歳のときに、生まれ育った多摩地域に物流を通じて恩返ししていこうと思い、長年運送業で培ってきた経験を生かして、シースリーネットワーク株式会社を創業しました。

軽貨物運送事業と一般貨物運送事業を展開

事業内容を教えていただけますでしょうか。

筒井:大きく分けて軽貨物運送事業と一般貨物運送事業の二つの事業を行っています。中でも地域を、八王子を中心とした多摩地域並びに多摩地域と隣接した神奈川県の一部に注力しております。軽貨物運送事業とは、軽自動車もしくは二輪車による配送業務で、個人の方でも運輸局に届出をすれば、すぐに始められるのが特徴です。この軽貨物運送事業においては個人のドライバーの方との契約を行い、個人ドライバーのまとめ役が主な事業内容になります。大手企業と個人ドライバーが直接契約を行うと、研修の不足やノウハウの共有がされていないため、長続きしないケースもあります。それらを回避するため、きめ細やかな指導や困りごとの相談を個人ドライバーの方と行うことにより、ドライバーの確保と育成を行いながら事業を展開しています。通販会社やインターネットで販売をする企業が一般の家庭に荷物を配送する際によく利用されます。ナンバープレートの色から通称「黒ナンバー」とも呼ばれています。一方で、一般貨物運送事業は軽貨物運送以外の車を使用し、事業免許を取得するハードルは軽貨物運送よりも格段に高いのが特徴です。こちらは通称「緑ナンバー」と呼ばれ、街中で見かける大型トラックなどはすべて一般貨物運送に該当します。

未経験者でも働けるように一からマネジメントをする

御社のホームページには「個人事業主ドライバーのマネジメント会社」と掲載されています。

筒井:我々が行っている軽貨物運送事業は、個人事業主のドライバーさんにパートナーとなっていただいています。よく私が例え話として挙げるのが、芸能プロダクションです。個人事業主であるタレントさんを芸能プロダクションのマネージャーがマネジメントする仕組みが、ドライバーさんと弊社の関係に似ているため、よく使わせていただいています。弊社で働いていただいているドライバーの方は、7割ぐらいが未経験からスタートします。そのため、我々がまず現場を決めて、そこでお仕事ができるようになるまでマネジメントし、その後もフォローをする、というのが我々の主な役割です。

大手企業が対応できないニッチなニーズに勝機を見いだす

御社の強みはどこにあるとお考えでしょうか。

筒井:大手の運送会社ができないような、ひと手間かかるような配送業務に強みを発揮できると考えています。例えば、ある企業から依頼を受けて、今年の4月から花の配送を始めました。その企業は、ネットで注文を受けた生花を定期的に届ける、花のサブスクリプションを行っています。そのサービスでは花瓶にさせるほどの長さの花を1箱に3、4本入れて配送しています。今までは大手運送会社が請け負っていたようなのですが、箱の大きさや生花という特性上、大手の運送会社さんではなかなか取り扱いづらい商品です。おそらく想像するに、「もう少し箱を小さくできないか」といったような要望があったと思うんです。そのときに、クライアントさんが箱を変えるのではなく、運び手を変えるという選択をして、我々にお声がかかったと考えています。大手運送会社では、形や大きさなどいろいろな条件が定められているのですが、我々はクライアントのニーズに合わせて届けられます。その柔軟性が取引の決め手になったと考えています。
 おかげ様で取引先が増えており、最初は八王子市から始めて、いまでは町田市や青梅市、神奈川県横浜市、相模原市まで配達エリアを拡大しています。

多摩地域と言えばシースリーネットワークという存在へ

八王子市に本社を置き、多摩地域を中心に事業を行っているのはなぜでしょうか。

筒井:

八王子市に本社を置き、多摩地域を中心に事業を行っているのはなぜでしょうか。

筒井:私は生まれも育ちも多摩地域で、運送会社に勤務していたときも担当エリアが昭島市や八王子市、稲城市といった多摩地域でした。そのため、自分で運送業を営むなら、慣れ親しんだ地域でやるのが自然な流れでした。また、運送業は他業種に比べても横のつながりが強いと感じます。これまで築いてきた人脈を生かして、どうしても自分の会社ではできない仕事があったときや車が足りないときには、お互いに仕事を融通して助け合っています。
 また、ここ数年は、多摩地域の仕事に対するこだわりが出てきました。創業当初は遠方の仕事でも受けていたのですが、時間や燃料費がどうしてもかかってしまう。配送地域を多摩地域に絞ることで、コストの削減にもつながります。ゆくゆくは「多摩地域で運送をお願いするならシースリーネットワーク」というイメージを持ってもらうところまで、多摩地域に特化していきたいです。

無事故の理由は府中市の大國魂神社にあり

多摩地域と関わりが深い筒井様にとって、お気に入りの場所などはありますか?

筒井:府中市にある大國魂神社です。私の生まれが府中市で、子どものころから育った街にある神社が大國魂神社でした。毎年、初詣は欠かさず参拝をしていますし、自動車の免許を取得してからは、交通安全のお守りを買っています。今まで事故を起こさなかったのは、大國魂神社のお守りのおかげだと思っていて、いまではここでお守りを買わないと運転をするのが怖くて仕方がないほどです。

新たなビジネスチャンスを求めて

多摩イノベーションエコシステム促進事業に参加されて、何か得られたものはありますか?

筒井:ワークショップをやらせていただいたのですが、普段は出会えない業種の方の考え方などに触れて、いろいろな気づきを得ることができたことは大きな収穫です。また、運送業を主体としたビジネスアイデアを考えるなかで、運送業は依頼していただける方がいて成り立つものだと再確認できました。このコミュニティに参加されている方々はいろいろなビジネスアイデアをお持ちです。実際にそれらが動き出したとき、新たな「運送」の需要が出てくるかもしれません。そこに我々がビジネスメンバーとして入り込んでいければと考えています。“限られたパイ”を奪い合っているという現状から脱するには、新しいお客さんを見つけていく、新たなビジネスチャンスがある場所に入っていくことが必要になってくるはずです。

会社情報

会社名 シースリーネットワーク株式会社
設立 2014年10月
本社所在地 東京都八王子市松木35-7
ウェブサイト https://c3network.co.jp/
事業内容 貨物軽運送事業、一般貨物自動車運送事業、第一種貨物利用運送事業、中古車販売事業

インタビューをもっと見る

MIRAI-LABO株式会社のインタビュー
MIRAI-LABO株式会社

道路に敷いた太陽光発電パネルでカーボンニュートラルに貢献

株式会社Accofitのインタビュー
株式会社Accofit

『イキイキFit』で高齢者の健康寿命を延ばし、介護職員の負担も減らす

インタビュー一覧ページへ
コミュニティに参加する