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多摩で生まれた幼稚園向け業務ツール『コナビ』を、地域から全国へ広めたい

アイティーエムクリエイト株式会社

代表取締役 伊藤 章裕

インタビューに答えていただいた伊藤章裕氏

 本事業では、地域内外の中小企業・スタートアップや大企業、大学等が連携して、地域の課題解決を図るためのプロジェクトや、多様な主体が交流できる会員組織(コミュニティ)の立ち上げなど、イノベーション創出に向けた取組を進めています。このインタビュー連載では、多摩地域のイノベーションをリードする注目企業をご紹介することで、皆様に多摩地域の魅力を発信していきます。

 「羽村市から未来をクリエイトする」。アイティーエムクリエイト株式会社の伊藤章裕氏は、ソフトウェア開発のプロフェッショナルとして、ITの力で業務を円滑にする“創造的なシステム”の実現を目指しています。長年にわたる受託開発で培ってきた経験を生かし、現在は幼稚園業務支援ツール『コナビ』や、多摩地域の魅力を伝える『多摩かるた』といった自社サービス・製品の展開にも力を注いでいます。今回は、そんな伊藤氏に現在の事業内容や開発に込めた思いについてお話を伺いました。

開発ポリシーは「お客様の声に寄り添うこと」

事業内容についてご紹介ください。

伊藤:主に企業の業務に使用されるソフトウェアの開発や既存システムの運用を手がけています。業務用システムからクライアント・サーバー、Web、クラウド、スマホアプリまで、幅広いシステム開発に対応可能です。特に、Windowsプラットフォームをベースとした開発を得意としています。現在携わっている業務の一例としては、企業の売上データを夜間に自動で集計するバッチ処理の保守・管理など、Webサイトやショッピングサイトのメンテナンス業務があります。

ソフトウェア開発をするにあたり大切にしていることはありますか?

伊藤:たとえ難しそうな依頼であっても、まずは「何かしらの形にしてみる」という姿勢を大事にしています。お客様の要望を、できる限り形にする。たとえすべての要望に応えられなくても、「こういう形でどうでしょうか?」という提案をなるべく出すようにしています。「できません」と突っぱねるのではなく、できる方法を一緒に探っていく。そうやって、なるべく親身になって、お客様の希望に寄り添うことを心がけています。

子育てと仕事を両立するため、独立を決意

創業の経緯について教えてください。

伊藤:もともといつかは独立して事業を始めたいという思いがあり、システム会社に正社員として勤めながら、システム開発の基礎を学び、資格取得にも取り組んでいました。ちょうど息子が小学校に上がるタイミングで、妻も「働きたい」と話していたこともありましたし、私の仕事はパソコンがあればどこでもできる。だったら、自宅で働きながら子育ても家事もこなせるのではないかと考えたのがきっかけです。そうした思いから2006年に独立し、業務を効率化するITシステムを提供する会社として「アイティーエムクリエイト株式会社」を設立しました。社名には、「IT × マネジメント × クリエイト」という意味を込めています。ITの力で業務を円滑にし、現場を支える存在になれればという想いでスタートしました。

人生のテーマは“創造”。その原点にある音楽制作のルーツ

社名には、別の意味も込められているとか。

伊藤:実は「アイティーエムクリエイト」という社名の由来にはもう一つのルーツがあります。もともとは2000年頃に立ち上げた「伊藤ミュージッククリエイト」というDTM(デスクトップミュージック)音楽制作の活動が原点なんです。高校時代に親に買ってもらったパソコンで、当時流行していたDTMに夢中になり、音楽制作を始めました。以来、「創造すること」が自分の人生のテーマのようになっていて、「何かを生み出す」「作り続ける」という姿勢が、ずっと自分の中にあります。音楽もシステムも、自分にとっては“創造”の一部。中でも、プログラミングを通じてシステムを作ることが、今の社会で一番自分に求められていると感じています。そうした背景から、自然な流れで現在のIT分野にシフトし、社名もその想いを引き継ぐかたちで「アイティーエムクリエイト」と名づけました。

幼稚園の園長からの依頼がきっかけで誕生した『コナビ』

自社サービスとして開発された幼稚園・保育園向けICTツール『コナビ(Conavi)』についてご紹介ください。

伊藤:『コナビ(Conavi)』は、幼稚園・保育園など教育機関向けの業務連絡クラウドツールです。具体的には、メッセージの一斉送信やグループごとの連絡配信が可能で、既読確認機能によって情報の行き渡りも把握できます。また、個別や少人数でのチャット、写真や資料などのファイル添付・共有、話題ごとのトピック整理、過去のやり取りをすぐに探せる検索機能なども充実しています。デジタルに不慣れな世代でも使いやすいシンプルな設計で、運営の負担を軽減しながら保育の質向上に寄与できるのが特長です。

そもそも『コナビ』を始めたきっかけは?

伊藤:『コナビ』を開発するきっかけとなったのは、青年会議所でご一緒している先輩からの相談でした。福生市で幼稚園の園長をされている方で、「有料のグループウェアを使うより、自園に合ったものを自前でつくれないか?」という声をいただいたのが始まりです。園長先生としては、園の方針や想いを全職員に向けてスムーズに、トップダウンで伝える手段がほしかったようで、職員向けの業務連絡ツールとして開発を始めました。当初はその幼稚園専用にカスタマイズしながら運用していたのですが、今ではその仕組みをベースに他の幼稚園にも広げていこうと展開を進めているところです。園長先生にも引き続きご協力いただき、現在はさまざまな園にご活用いただいています。

実際に利用している方々からは、どのような声が届いていますか?

伊藤:利用者の方からは、「とにかくシンプルで使いやすい」という声を多くいただきます。年配の職員の方でも扱いやすいという点も評価されています。また、LINEなどの私的なツールを使わず、業務用として割り切って連絡ができるのも安心感があるようです。現場の声をしっかりと反映させながら、今も改良を重ねていて、現場で本当に使いやすいツールを目指しています。大手のツールは多機能ゆえに使いにくい側面もあると感じており、コナビはあえて“業務連絡に特化したシンプルさ”を強みとしています。今後は、動画通話のようなトーク機能や、AIとのチャット機能など、業務連絡の質をさらに高めるための新たな機能も模索中です。引き続き、「業務連絡を深掘りする」という軸を大切に、開発を進めていきたいと考えています。

多摩の魅力が一枚一枚に込められた『多摩かるた』

多摩地域にちなんだ“かるた”を販売されていると伺いましたが、制作に至った経緯を教えていただけますか?

伊藤:きっかけは2018年、家族で群馬に旅行したときのことです。現地で『上毛かるた』を見かけて、「これの多摩版があっても面白いんじゃないか」と思ったのが始まりでした。そして、構想から約2年、2020年に『多摩かるた』として完成しました。

内容は、多摩地域の市町村をバランスよく取り上げていて、地域の魅力を幅広く網羅しています。使っている写真も自分で撮影したものです。息子と過ごす休日に、車で近隣のいろいろな場所を訪れることが多く、気軽に行って帰ってこられるスポットを巡って写真を撮りためていました。息子は車に乗っているのが好きなので、そういうスタイルであちこち回っていたのが、このかるたづくりにもつながっています。

遊び方は、基本的に一般的なかるたと同じです。1対1で楽しめる競技用のルールも用意しています。さらに、これは上毛かるたにもある要素なのですが、「役」を作っているのも特徴です。たとえば、多摩川のいかだに関連する「て」「お」「り」の3枚で1役とし、5点が加算される、といった具合に、札の組み合わせによって得点が入る仕組みです。もちろん、それぞれの札には解説書も付いており、遊びながら多摩地域の魅力や知識を深められるよう工夫しています。

反響はいかがでしたか?

伊藤:思っていた以上に反応があって、ちょっと驚いています。最近ではお正月にTBSラジオで紹介していただいたほか、多摩ケーブルテレビや西多摩新聞などでも取り上げていただきました。本業としては「コナビ」などのサービスに力を入れていかなければいけないのですが、こちらのほうが話題になっていますね(笑)。『多摩かるた』は弊社のホームページからオンラインで購入できるほか、羽村市観光協会にも置かせていただいています。ご興味のある方はぜひ手に取って、楽しんでいただけたらうれしいです。

積み上げた経験と信頼を生かし、自社発のサービス展開を本格化へ

最後に、今後の展開について教えてください。

伊藤:まずは、多摩地域の皆さまに弊社のことを知っていただくことが何より大切だと考えています。そのうえで、「コナビ」を軸に事業を展開し、多摩エリアの皆さんに実際にご活用いただけるような業務支援サービスを構築していきたいと思っています。そのためにも「こんなサービスを提供している会社があるんだ」と知ってもらうことが第一歩ですね。そして、コナビをはじめとする自社コンテンツによって、地域に貢献しながら持続可能な事業として成長させていくのが理想です。これまで長く受託開発の仕事を手がけてきましたが、その中で積み上げてきた経験や信頼が、今の自社サービスの開発にも確実に生きています。今後はそうした知見を生かしながら、より自社発信のサービスに力を入れ、次のステージへとシフトしていきたいと考えています。

会社情報

会社名 アイティーエムクリエイト株式会社
設立 2010年1月12日
本社所在地 東京都羽村市羽東3-11-39/立川オフィス 東京都立川市曙町1-17-1  井上ビル 301
ウェブサイト https://itmcreate.com/index.html
事業内容 コンピュータに関するソフトウェアの企画、設計、開発/インターネット、マルチメディアコンテンツの制作/インターネットに関する音楽制作