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深センの企業との強固な連携を生かし、IoTデバイスを開発する電通大認定ベンチャー

フローライト・テクノロジーズ株式会社

代表取締役 八重樫 直輝

インタビューに答えていただいた八重樫直輝氏

 本事業では、地域内外の中小企業・スタートアップや大企業、大学等が連携して、地域の課題解決を図るためのプロジェクトや、多様な主体が交流できる会員組織(コミュニティ)の立ち上げなど、イノベーション創出に向けた取組を進めています。このインタビュー連載では、多摩地域のイノベーションをリードする注目企業をご紹介することで、皆様に多摩地域の魅力を発信していきます。

 フローライト・テクノロジーズ株式会社は、IoTデバイスやロボット製品の開発を手がける、電気通信大学認定のベンチャー企業です。中国・深センの企業と提携し、コストを抑えつつスピーディーに製品開発を進めたいスタートアップのモノづくりを支援しています。中国語が堪能で、中国とのビジネスに精通する八重樫直輝氏に、同社の強みや深センとの連携の背景についてお話を伺いました。

堪能な中国語を生かしてキャリアを構築

中国とのつながりに強みを持つ理由は何ですか?

八重樫:私は帰国子女で、幼少期は中国で暮らし、小学校も現地で通っていたため、中国語が堪能です。日本に帰国後は、専門学校でハードウェアとファームウェアについて学びました。卒業後はソフトウェア開発企業に就職し、中国語を生かして日本と中国をつなぐブリッジSEとして働いていました。ただ、次第に「やっぱり自分はハードを触りたい」と感じるようになったんです。

IoTやAIといったキーワードが注目されはじめた時代の中で、改めてハードに関わる道を選びたいと思い、中国・深センと強いネットワークを持つハードウェア開発企業へ転職しました。学生時代に扱っていたのは主にアナログ回路でしたが、現場ではデジタル技術が主流。最初は戸惑いもありましたが、模索しながら、先輩に教わりながら、徐々に理解を深めていきました。特に、これまで培ってきたソフトウェアの知識と、新たに学んだハードウェアを融合させて、製品づくりの全体像を身につけられたのは大きな収穫でした。

転職後2年ほどして会社の体制が変わったことをきっかけに、独立を決意しました。中国とのビジネスの経験もあり、言葉も通じる。ソフトとハードの両方の知識も手に入った。いろいろなピースがそろったこのタイミングで、自分の力を試してみたいと思ったんです。こうして、フローライト・テクノロジーズを立ち上げました。

電気通信大学認定ベンチャーであることのメリット

電気通信大学認定ベンチャーとなった経緯と、その強みを教えてください。

八重樫:まず、フローライト・テクノロジーズが電気通信大学の認定ベンチャーになった背景には、共同創業者の一人が同大学の卒業生だったことがあります。この縁をきっかけに、私たちは大学の支援を受けながら活動を展開しています。

まず大きなメリットとして、大学施設を安価に利用できることが挙げられます。オフィススペースの確保にも役立ち、スタートアップとしての初期コストを抑えながら事業を進められる点は非常に大きいです。また、認定ベンチャー間での横のつながりも活発で、仕事の紹介や相談のやり取りなど、互いに支え合う関係性が生まれています。加えて、大学側から経営に関するアドバイスをもらえる機会や、学生アルバイトとのマッチング支援もあり、技術系の仕事に意欲的な学生たちと実務をともにできるのも心強い環境です。

さらに、フローライト・テクノロジーズのような小規模な企業が「IoT技術を扱っています」と単独で発信しても信頼を得にくい場面がありますが、大学名が伴うことで技術や事業の信頼性が格段に高まるのも事実です。そしてもう一つの重要な点が、大学教員との共同研究です。世の中にまだ出ていないような先端技術をともに研究し、それを私たちの会社を通じて外部へ発信していく。この連携は、研究と社会実装をつなぐ役割としても非常に意義深いものだと感じています。

ハードからソフトまでワンストップで開発

注力されている事業領域について教えてください。

八重樫:現在、フローライト・テクノロジーズの主力はIoTデバイスの開発です。試作品の設計から量産に至るまで、一貫して対応できる体制を整えています。特に多いのが、スタートアップ企業からの依頼です。限られた予算の中で高品質なものを作りたいというニーズに対し、当社では中国・深センの提携工場を活用することで、コストを抑えながら製品化を実現しています。試作段階では、ハードウェアとソフトウェアの両方を一括で設計・開発することが可能です。このワンストップ体制により、スピード感を持った開発支援ができるのが強みです。

加えて、最近ではモーター制御の開発にも注力しています。あるお客様からロボット開発の依頼を受けたことをきっかけに、制御系の技術を強化。ロボットには欠かせないモーター制御の分野で、確かな技術力を発揮しています。

柔軟な姿勢とフットワークの軽さが深センの特徴

深センでのモノづくりには、どのような特徴がありますか?

八重樫:日本のものづくりは品質重視である一方、スピード感に欠ける部分があります。たとえば、試作品の開発中に「この部分を少し調整したい」と思っても、日本の工場ではまず「スケジュールの調整」が優先され、対応が数日後、あるいは2週間先になることも珍しくありません。しかし深センでは、「まずやってみて、問題がなければ次に進もう」という実行と改善を同時に進めるスタイルが根づいており、対応が非常にスピーディーです。たとえば、工場に直接行けば、その日のうちに現場で試してくれるということもよくあります。この「とりあえずやってみる」柔軟な姿勢とフットワークの軽さこそが、深センの強みであり、日本のやり方と大きく異なる点だと感じています。

信頼関係の構築が、より大きな成果を生む

深センの企業との信頼関係が、製品開発にどう影響していますか?

八重樫:深センの企業と信頼関係ができると、単なる受発注関係以上の存在になります。例えば、こちらが提示した仕様に対して、「こうすればもっと安く、もっと効率よくできるのでは」といった提案を積極的にくれることがよくあります。これは、工場の数が多く、それぞれが豊富なノウハウを持っているからこそ可能なことです。一方、日本の工場では「この通りに作ってください」と仕様を伝えると、それに忠実に従う一方で、別のやり方を提案してくれるケースはあまりありません。また、小ロット対応にも柔軟なのが深センの魅力です。日本だと「この量では赤字になる」と断られてしまうことも多いのですが、深センでは少量からでも対応してくれる工場が多く存在します。そして何より、困っているときに助け合う文化がある。そうした協力的な姿勢が、ものづくりをスムーズに進める上で大きな力になっています。

現場の声を取り入れて開発したショット数カウントデバイス

他社との連携によって生まれたプロダクトには、どのようなものがありますか?

八重樫:現在、NeuraConnect株式会社という企業と連携し、「ショットカウンター」というデバイスを開発・量産しています。これは、樹脂成形に使われる金型のショット数(開閉回数)や温度を自動的に計測・管理するIoTデバイスです。射出成形の現場では、加熱した樹脂を金型に流し込み、成形機(設計機)でガチャンと閉じて製品を作るという工程が繰り返されます。この金型には寿命があり、定期的なメンテナンスが必要です。これまで、その交換や保守のタイミングは、熟練の職人の経験や勘に頼って判断されてきました。しかし今、人手不足の影響もあり、職人に依存しない「見える化」と自動管理のニーズが高まっています。

そこで開発したのがこのショットカウンターです。デバイスは、金型の開閉回数や温度をリアルタイムで測定し、クラウドにアップロード。そのデータをもとに、メンテナンスの時期を自動で判定し、管理担当者へメールやスマホのプッシュ通知で知らせることができます。この取り組みによって、現場の負担軽減だけでなく、金型の長寿命化や不良品の削減にも貢献できています。現在はすでに量産体制にも入っており、実際の工場で導入が進んでいます。

地域資源を生かした、柔軟なモノづくり体制をめざして

多摩地域の企業との連携の可能性は?

八重樫:現在、弊社のお客様のうち約3割が多摩地域のものづくり企業で、特に八王子の企業との取引が多くあります。今後はこのつながりをさらに広げ、より密な連携を図っていきたいと考えています。その背景の一つには、中国との休日の違いによるリスク回避があります。たとえば中国では旧正月など長期休暇中に工場がストップすることがあり、納品スケジュールに影響が出てしまいます。そういった時に、多摩地域の企業と連携し代替対応できる体制があれば非常に心強いのです。

海外取引においては、ノウハウの流出を懸念されるお客様の声も少なくありません。当社では製造の一部を深センに委託していますが、ソフトウェア開発はすべて自社内で完結させています。ただし、全工程を自社だけでまかなうのが難しい場面もあるため、多摩地域のソフトウェア開発企業との協業も視野に入れています。「すべてを中国で」ではなく、「できることは多摩で」。地域の技術力とものづくりの力を掛け合わせることで、コストやスピードだけでなく、信頼性と柔軟性を備えた開発体制を築いていきたいと考えています。

工場のオートメーション化を支援したい

今後の展望をお聞かせください。

八重樫:社名に「テクノロジーズ」とあるように、フローライト・テクノロジーズの最大の強みは技術力です。今後もそこを核に事業を展開していきたいと考えています。とくに注力していきたいのが、モーター制御の技術を応用したロボット開発です。すでにこの分野では実績があり、今後はこれを生かして、工場内の自動化や省人化のニーズに応える製品・ソリューションの開発を進めていく構想です。例えば、ものを運搬する搬送ロボットや、生産ラインでの組立・検査などを担うロボットなど、現場のニーズに即したプロダクト設計を目指しています。とくに多摩地域には製造業の工場が数多く存在しており、そうした現場の人手不足や生産効率の課題に対し、地域密着型のテクノロジーパートナーとして貢献していきたいと考えています。技術と地域、そして現場のリアルをつなぎながら、“次の当たり前”を生み出す企業へと成長していきたい——それが、フローライト・テクノロジーズのこれからのビジョンです。

会社情報

会社名 フローライト・テクノロジーズ株式会社
設立 2020年3月10日
本社所在地 東京都調布市調布ヶ丘1丁目5番地1国立大学法人電気通信大学西11号館 508
ウェブサイト https://fluorite-tec.com/
事業内容 IoT関連製品・ロボット製品の企画、開発、販売/スマートデバイス向けソフトウェア及びハードウェアの企画、研究、開発、販売/デジタルコンテンツの企画、開発、販売、運営