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“見えない漏れ”を可視化する、八王子の専門メーカー

株式会社コスモ計器

代表取締役社長 古瀬 悠、取締役会長 古瀬 智之

インタビューにご回答いただいた代表取締役社長の古瀬悠氏(右)と取締役会長の古瀬智之氏(左)

 本事業では、地域内外の中小企業・スタートアップや大企業、大学等が連携して、地域の課題解決を図るためのプロジェクトや、多様な主体が交流できる会員組織(コミュニティ)の立ち上げなど、イノベーション創出に向けた取組を進めています。このインタビュー連載では、多摩地域のイノベーションをリードする注目企業をご紹介することで、皆様に多摩地域の魅力を発信していきます。

 リークテスト(漏れ検査)とは、製品や配管などの密閉容器から、気体や液体が漏れていないかを確認する検査で、製造業の品質を支える、欠かすことのできない工程です。八王子市に拠点を構える株式会社コスモ計器は、このリークテスト機器を専門に手がけています。親子三代にわたって事業を継承してきた同社では、現在、代表取締役社長の古瀬悠氏と、取締役会長の古瀬智之氏が舵を取っています。今回はお二人に、コスモ計器の事業内容と、ものづくりを支え続けてきた歩みについて話を伺いました。

水没試験から差圧式へ

1970年創業とのことですが、創業の経緯をご紹介ください。

古瀬悠:当時は高度経済成長の真っただ中で、自動車の生産が一気に伸びていました。製造ラインの自動化を急ぐ中で、リークテスト(漏れ検査)が大きなボトルネックになっていたんです。当時主流だったのは、水槽に沈めて泡が出るかを目で見る水没試験。いわば自転車のチューブの穴を探すのと同じやり方です。ただ、目視なので精度に限界がある。鉄製品を水に入れる以上、乾燥が不十分だと錆の原因にもなる。どれくらい漏れているかを定量的に測れない点も含めて、製造ラインとしてはリスクが大きく非効率でした。

この課題を解決するために、祖父は当時勤めていた東京航空計器という会社で、差圧式リークテスターの開発に携わりました。トヨタ自動車からの依頼で始まったプロジェクトで、空気の差圧を使って漏れを検出する、当時としては画期的な技術でした。ところが、東京航空計器ではその開発を継続しなかった。祖父は「これは必ず伸びる」と確信し、退職金をすべて投じて自宅に研究・製造設備を整え、家族ぐるみで事業を立ち上げました。それが当社の創業です。

15年がかりで余裕のある承継を

2023年に娘さんに事業を継承されたそうですね。

古瀬智之:はい。私自身、父が亡くなったときに37歳で代表になったのですが、そのときは本当に大変でした。だからこそ、「余裕を持った事業承継が必要だ」と強く感じたんです。そこで、自分の中で65歳をひとつの区切りと決めて、そこに向けて15年かけて準備をしてきました。少しずつ組織の運営体制を整えたり、娘にも時間をかけて勉強してもらったりしながら、2023年11月17日付で正式に代表を引き継ぎました。これからの時代、これまでとは異なる価値観や視点が必要になると思っています。男性では思いつかないような発想や感性が、次のコスモ計器にとって大きなプラスになるのではないか。そんな思いから、彼女に託す決断をしました。

空気で“漏れ”を測る、エアリークテスターの守備範囲

事業内容について教えていただけますか?

古瀬悠:弊社の主力製品は「エアリークテスター」です。ひと言でいえば、“空気で漏れを測る検査機”ですね。たとえば自動車産業では、エンジンやブレーキなどの部品にオイルを注入しますよね。そうした部品は、漏れてはいけない箇所が必ずあります。そこがきちんと密閉されているかどうかを確認するのが、私たちの装置の役割です。現在、売上の約7割は自動車関連が占めています。

一方で、用途はそれだけに限りません。身近なところだと、水筒やタンブラーの漏れ検査にも使われています。さらに少し変わった例としては、チョコレートのパッケージに使われる袋の匂い漏れを検査するケースもあります。コンビニなどでお菓子が並んでいると、隣の商品に匂いが移ったり、匂いにつられて虫やネズミが寄ってきたりすることがある。そうした問題を防ぐために、袋の密封性をチェックするわけです。

古瀬智之:そもそも漏れ検査は、あらゆる製品で必要になります。たとえばウォシュレットやトイレなどの衛生陶器にも使われていますし、エアコンも中にガスが入っているので、漏れれば大きなトラブルになります。洗濯機や冷蔵庫、時計の防水検査など、用途は本当に多種多様です。ただ、参入規模という観点で見ると、やはり自動車関連の需要が圧倒的に大きい。全体の約7割を占めているのが現状です。

水とヘリウムの中間解。量産現場で効くエアリークテスト

エアリークテストの特徴は?

古瀬悠:漏れ検査の方法を大きく分けて考えると、まず従来の「水で測る方法」があります。これはどうしても製品が濡れてしまうし、人の目で確認する場面も多い。定量的に測りにくいですし、漏れが裏側で起きていたり、泡が見えにくかったりすると、判断が難しいこともあります。もっと厳しい漏れまで高精度に測ろうとすると、「ヘリウムガスを検知する方法」があります。精度は非常に高いのですが、設備が高価で、ガス代もかかる。コスト面のハードルが大きいんですね。

その中間に位置づけられるのが、エアリークテストです。超精密な領域までは狙わないものの、「実用上問題のないレベルで、きちんと漏れを測りたい」といったニーズには十分対応できる。しかも、空気の圧力を使うので、専用の高価なガスを使わずに検査ができる。もちろん圧縮には電気代などのコストはかかりますが、材料としては身近な“空気”で検査できるのは大きな強みです。量産品を、大量に、安く、一定の精度で検査したい。そういう現場でエアリークテストは特に力を発揮します。漏れ検査の産業全体の中でも、市場規模が大きい領域だと思います。また、基本的に工業製品は全数検査が前提です。一方で、先ほどのチョコレートのように数が膨大なものは、抜き取り検査になるケースも多いですね。

導入して終わりにしない。現場で測り続けることができる状態を守るサポート

販売後のサポートにも注力されていると伺いました。

古瀬智之:私たちの装置は、空気の圧力や流量の変化から漏れを測ります。だからこそ重要になるのが、圧力や流量を定量的に管理し続けることです。具体的には、圧力センサーや流量センサーの感度がずれていないかを定期的に点検し、機器の状態を維持していきます。もちろん、故障が起きた場合の修理対応も含まれます。差圧による漏れ検査は、空気の圧力を扱う分、とても繊細です。たとえば季節による温度変化や、設置場所の環境が少し変わっただけでも影響が出る。極端な話、たまたまクーラーの風が当たる位置になってしまっただけで、不具合につながることもあります。そうしたときは現場に行って原因を突き止め、お客様と一緒に手直ししながら、安定して検査ができる状態に戻していく。そこまで含めて、私たちのサポートです。

創業者のポリシーとして、もしお客様の現場で漏れ検査がきちんとできないなら、その装置はただのガラクタだという考え方があります。だから徹底的に、導入後もリークテストを続けられる状態を守る。お客様が「この機器はもう役目を終えたから捨てよう」と判断する、その最後のところまで付き合う。それが私たちの基本姿勢です。

顧客の海外移転を支えるグローバル展開

海外展開もされていますが、その狙いは?

古瀬悠:海外展開の出発点は、とてもシンプルです。お客様の製造工場が海外へ移転していく流れの中で、「現地でも同じようにサポートしてほしい」というニーズが出てきた。そこで、私たちもお客様についていく形で海外展開が始まりました。目的は、海外の生産現場でもサービスを提供することです。最初は出張ベースで対応しましたが、案件が増えて規模が大きくなってくると、どうしても現地に拠点が必要になる。そこで拠点を設け、アフターサービスを継続的に提供できる体制をつくっていきました。

古瀬智之:アフターサービスが回り始めると、次のニーズにもつながります。たとえば装置のリプレイス(更新)や、追加の設備投資などですね。つまり、お客様の海外展開に合わせて支援体制を整え、サービスを起点に信頼を積み重ねていくことで、結果として販売にもつながっていく。その流れをつくるのが狙いです。現在は、アメリカ、韓国、台湾をはじめ、中国や東南アジア、インドなどにも展開しています。

産業の広がりに伴い増えるニーズ

最近注目している業界は?

古瀬智之:いま急激にニーズが伸びているのが、AIサーバーの分野です。AIサーバーは発熱量が桁違いなので、強力な冷却が必要になります。これまではクーラーなどで冷風を送って冷やしていましたが、それでは追いつかなくなってきた。そこで最近は、冷却用の液体を通したプレートを密着させて冷やす方式が主流になりつつあります。すると、冷却液を流す配管やプレート、ポンプ、バルブ、ホース、分岐用のカプラーなど、あらゆる部材で漏れ検査が必要になる。AI技術が進化すればするほど、私たちの装置の出番も増えていく。そんな状況です。「今までになかったもの」が世の中で使われ始めると、それに合わせて漏れ検査が必要になるケースは少なくありません。何が次に出てくるかは正直わかりませんが、そうした変化にきちんとついていけるように、常に技術を磨き続けていくことが、これからも大事だと思っています。

地元企業と連携したモノづくり体制

他社との連携事例はありますか?

古瀬悠:私たちはものづくり企業ですが、実態としてはファブレスに近い部分もあります。部品の調達から、金属加工、筐体の製作、基板の製作、組み立てまで、製造工程の多くを地元の会社にお願いしています。逆に言うと、このエリアはそうした連携がとてもやりやすい地域なんです。もともと一定規模の企業が多く集積していて、そこからスピンアウトして、私たちのように起業している会社も少なくありません。結果として、小ロットでも柔軟にものをつくれる環境が整っている。だからこそ、連携しながらものづくりを進めるのが当たり前になっています。私たちの製品も、協力会社との連携がなければ、お客様に届けることはできません。

多摩エコへの期待は、新たなつながり

多摩イノベーションエコシステム促進事業に求めることは?

古瀬智之:私たちは自動車産業を中心に、かなり深く入り込んで仕事をしています。ただ、この地域の中で「地元のお客様をたくさん抱えているか」というと、実はそうでもないんですよね。でも、探せばあると思っています。規模は小さくても、漏れ検査に課題を抱えていて、私たちの製品で解決できる会社や現場は。そういうところとつながって、地元でしっかり仕事をさせていただきたい。部品を地元でつくってもらってお金を払う、という関係だけではなくて、私たちの製品や技術を使っていただいて、現場が良くなる。そういう貢献も、もっとできるはずだと思っています。多摩イノベーションエコシステムには、その“つながり”をつくる役割を期待しています。

古瀬悠:既存のお客様だと、上の世代の方は「リークテストといえばコスモ計器」と思ってくださっているケースが多いんです。でも、新しく入社して担当になった方は、そもそも私たちのことをご存じないこともある。その結果、ネットで検索しても上位に出てこない、といった理由で、気づかないうちに競合に置き換わってしまうパターンもあります。そういう意味でも、新しい担当者層にきちんと届く出会いや接点がつくれると助かりますね。

空気からヘリウムガスへ。市場拡大を見据えた戦略

今後の展望は?

古瀬悠:これから漏れ検査装置の市場は、さらに拡大していくと言われています。現状の市場規模から2倍くらいになる、という見立てもある。その中で、特に伸びていくのはヘリウムリークテストの領域だと思っています。漏れ検査の技術はこれまで、水没試験が主流だったところからエアリークテスターへ移り、さらに今後はエアリークテスターから、ヘリウムや水素など、いわゆる異臭ガスと呼ばれるガスを使ったリークテスターへと置き換わっていく。これはある意味、必然の流れだと思うんですね。だからこそ、その変化の中で「私たちに何ができるのか」をしっかりと考える必要がある。今後5年、10年のスパンで、形にしていかなければいけないと思っています。あわせて、IoTやスマートファクトリーといった、これまでとは違う新しい領域にどう踏み込んでいくか。そこも含めて、これから先の戦略として考えていきたいですね。

会社情報

会社名 株式会社コスモ計器
設立 1970年6月25日
本社所在地 東京都八王子市石川町2974-23
ウェブサイト https://www.cosmo-k.co.jp/
事業内容 工業用計測機器製造販売/コスモスーパーゲル製造販売/計測器の校正業務