「ビジネスアイデアはあるけど、ビジネスモデルがうまく作れない」「PoCを実施したいが無駄な検証をしてしまいそう」というお悩みを解決するため、新規事業のビジネスモデルやその検証計画の考え方・作り方を習得するためのワークショップを全2回(前編・後編)にわたって実施しています。
後編となる今回は、リーンキャンバスを活用した検証計画(POC計画)策定の考え方についてです。前編のレポートは下記になります。
https://tama-innovation-ecosystem.jp/report/community/1485/
【事業者間連携・協業に関するエピソード編】
まずは、事業者間連携・協業に関するエビソードの共有として、実際に自治体や大企業との連携に取り組んでいる株式会社モビリティワークス様、レコテック株式会社様にご登壇いただきました。
〇株式会社モビリティワークス 西利也様
モビリティワークス社からは、自治体や大企業と協業する際に大切にしていることについてお話頂きました。
『当社では、関西電力、リコー、トヨタ自動車等の大企業や大学、自治体と共同研究や実証を行っています。特に自治体との協業において最も大切にしていることは、自治体との接触機会を増やしていくことです。足しげく自治体のイベントや勉強会、ピッチコンテストに参加することでお声がけいただけるようになり、グリーンスローモビリティ事業参入の第一歩を踏み出しました。また、接触機会を増やすことで自治体や省庁がどんなことをしたいかということを深く理解できるようになり、そこから大企業や大学との連携にも繋がっています。現在は町田市と親密な関係を築いており、協業による事業を推進しています。』
〇レコテック株式会社 荒井亮介様
レコテック社からは、大企業や自治体との連携に必要な実績づくりや、連携によるメリットに関してご講演頂きました。
『企業間連携を推進していくにあたっては、公的機関の補助企業や大企業とのパートナーシップを活用してプロジェクトとしての求心力や信頼性を高めることが重要です。その中で、プレイヤー同士の利益相反によるプロジェクト進行が阻害されないように、役割を明確化し最低限の座組を組むことで、プロジェクトの進行スピードを維持させるよう努めております。また、協業のメリットとしては、然るべき箇所に然るべきプレイヤーがいることにより複眼的な視点からフィードバックが得られることで、ネクストアクションに向けた課題を適切に把握できる点が挙げられます。多くの関係者を巻き込みながら推進する必要のある当社のビジョン「100年後の人類のためにごみという概念がない社会をつくる」の実現に向け、関連する多くの事業者と連携しながら事業を推進しています。』
【仮説検証の概要】
他社との連携を行うことの重要性・ポイントについて理解をした後は、新事業構想の検証方法(仮説検証方法)についての講義を行いました。
一般的な仮説検証とは、最低限の知識をもとに、「あたり」や「理由」 をつけてから、本当かどうか確認をすることを指します。新規事業開発において陥りがちな悪いフローとして、事業開発時における事業アイデアの検証が不足し、行き当たりばったりな開発や注力ポイントが不明確な状態での事業推進に陥る可能性が高くなることが挙げられます。望ましいフローとしては、ベンチマーク・KPIを明確にしたうえでの事業性リサーチ⇒「リリース後使われるのか」顧客の反応を第一にした仮説検証を実施⇒少額でのプロトタイプを用いて学びながら開発を進めるといったフローになります。
仮説検証には3段階あると言われておりますが、今回は1段階目の「顧客・課題検証」(想定顧客が抱えている課題と、ターゲットとすべき顧客を明確化するための検証)部分に取り組みました。
新規事業における仮説検証では、大きいリスクから検証し、徐々に小さい方向性を微修正していくことで、目標への道を修正していきます。基礎技術やアイデアをベースとして顧客や市場のニーズとすり合わせを行うことが第一に行うべきことになります。つまり、徐々に事業を修正しながら、目指すゴールに向かって事業開発を進める手法ともいえるでしょう。実際に、事業に失敗したスタートアップに失敗の理由のアンケートを行うと「顧客や市場のニーズを読み違えていたため」が半数を占めます。
仮説検証の各段階は4つのステップ(情報整理・リサーチ⇒仮説・検証計画立案⇒仮説検証⇒分析)で構成されます。今回はその中で初めて新規事業を立ち上げる際に躓きやすい2段階目の「仮説・検証計画立案」を考える方法について学びました。
【仮説・検証計画の立案編】
想定している事業が成り立つための「隠れた前提条件」を特定することが仮説立案の手法です。事業を成り立たせる方法として、顕在化しているトレンドやニーズだけでなく、顧客の「こうだったらいいのに」という願望や、事業主が気づいていないニーズ、顧客自身も気づいていない潜在ニーズなどにも着目していく必要があります。
この時に検証項目抽出のために前提条件を整理して考える方法が効果的です。仮説が抽出できたら、検証方法の設定とインパクト(前提が崩れたときの影響度の大きさ)や不明度(前提の不確かさ)の大小を検討します。この後の工程として検証に移っていきますが、インパクト・不明度が共に大きい項目から優先的に検証していきます。この一連の流れをケーススタディを活用して学習しました。
【仮説の前提条件整理とその検証方法に関するワークショップ】
前回実施したリーンキャンバスの例題の1つ、QBハウスの事業モデルを参考に何をどういう形で検証すべきかを考えるグループワークを行いました。
(1)各要素(課題、顧客セグメント、独自の価値提案、ソリューション、優位性)の内容をより細かく記載していく
(2)その後、細かく記載したものをベースに検証すべきものは何かを考える
(3)検証すべきものに対し、どういう形式でそれを検証していくのかを考える
(4)検証に際しては、提案が課題解決するか、誰がその課題を持っているかに注意する
【交流会】
自由参加の交流会では、さらに深い情報交換やディスカッション、名刺交換などが行われました。
リーンキャンバスの活用方法に関する議論など活発な交流が行われました。
【ご参加者の声】
当日のご参加者にアンケートを実施した所、以下の様なお声を頂きました。
「やりたい事業を思いついて実行するだけでなく、事前にそのやりたい事業を机上で検討し、自問自答をしていくことで手戻りのない事業検証になることを知れた」(中小企業)
「幅広い視点から自分の事業を検証することで自分の思うターゲットだけでなく、潜在的なニーズに気が付く可能性があることを知れた。これから新規事業を行う際はもちろんのこと、現在の事業についても仮説検証について再考することにより、よりよいサービスにしていけるのではないかと考えた。」(スタートアップ企業)
「具体的な事例の中で仮説・検証手法の抽出に苦戦した。検証方法の理解は中盤ぐらいまでできたかなと思う。中小企業・大企業に関わらず稟議を通すために必要な立案方法を知れて良かった。」(中小企業)
「QBハウスがこの手法を使うというよりは、QBハウスを追いかける2番手3番手の企業がどうやってQBハウスよりよいサービスを開発していくかというところで使っていけると思った。」(中小企業)
多くの方に満足いただけるイベントとなりました。
今後もコミュニティ会員向けにイベントを開催していきますので、
ご関心のある方は是非ご入会ください!
コミュニティの入会概要と申し込みページ
https://tama-innovation-ecosystem.jp/community/
コミュニティで今後予定しているイベント
https://tama-innovation-ecosystem.jp/event/