地域課題解決に繋がる事業開発を促進させることを目的に、企業や自治体等が解決したい課題を発信し、その解決策を募るリバースピッチを開催いたしました。
第2回リバースピッチでは、都心部からのアクセスも良く、豊かな自然環境を有し、また文化施設・観光施設等も多数有する多摩地域において関心の高い「観光・レジャー」をテーマに、5社が共創案実現に向けたピッチを行いました。
この報告では、当日のイベントの様子や参加者の皆様からのご意見を紹介します。
本事業のご説明
事務局より本事業の全体像及び今年度の取組についてご説明しました。
事業の一つの柱である多摩イノベーションコミュニティで今年度取り組んでいるイベントとして、3種類のワークショップについてご紹介しました。そのうちの一つで、今回開催する「プロジェクト創出ワークショップ(リバースピッチ)」では、地域課題解決に取り組む大企業や自治体等が抱えている課題やニーズについてご紹介いただき、マーケットイン型のプロジェクト創出に繋げることを目的としています。
次に、ワークショップ等を通じて整理したビジネスアイデアの具現化に寄与する「ビジネスアイデア具現化支援」についてご説明しました。本取組では、多摩地域の課題解決に向けたビジネスアイデアを募集し、審査・選定後にビジネスアイデアの具現化に向けた個別支援、費用支援を実施します。
外観・共創事例のご説明
次に、事務局より第2回リバースピッチのテーマである「観光・レジャー」に関する概観・共創事例についてご説明しました。
国では「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」をキーワードに、「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」「国内交流拡大」に取り組む方針を打ち出しています。現在、日本は観光魅力度ランキングで世界3位であり、国際的な観光先・旅行先としての地位も確立され、また日本の地方・地域への注目度も高まっています。多摩地域においては、ミシュランガイドで三つ星に選ばれた高尾山をはじめ、自然あふれるスポットや地域資源を活かしたエリアを多数有しており、「観光・レジャー」の観点で高いポテンシャルを有する地域です。
「観光・レジャー」分野での多摩地域における共創事例として、沿線まるごと株式会社と株式会社humorousのリーディングプロジェクトの取り組みついて紹介しました。沿線まるごと株式会社では、奥多摩エリアの地域資源を活かし、EVバイクや電動自転車等の二次交通を組み合わせたツアーの造成、モニターツアーに取り組みました。また、株式会社humorousでは、キャンプ場と連携し、高輝度蓄光素材を活用した安全性の向上と心地よい空間演出に関する取り組みを実施しました。
最後に、国により示されている取組方針「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」「国内交流拡大」に対し、全国で行われている先行事例についてご紹介しました。
リバースピッチ
登壇5社より、各者の紹介と共創ニーズ、共創パートナーについてのご説明をいただいたのち、参加者からの質疑応答を行いました。
当日のピッチの様子はこちら
- 京王観光株式会社
「共創起点で地域イントレプレナーを目指して」
多摩市に本社を構える京王観光株式会社は、京王グループ46社の中の1社として観光・レジャーに関する業務に取り組んでいます。これまで、産学連携事業である「多摩地域マイクロツーリズムプロジェクト(通称:タマリズム)」に参画し、多摩地域の自治体や大学、民間企業等169団体とのリレーションを構築している他、観光協会等16団体とも連携を強め、観光・レジャー分野において多摩地域に限らず多方面で存在感を発揮しています。
こうした中で、国内外観光客の誘致や関係人口創出向けて、「訴求力のあるチャネルやツール整備」に関して共創いただける企業を募集しています。また、主要スポットを起点とした新たなコンセプトによる体験型ツアー造成による地域内の回遊性向上につながる取組創出に向けて、共創いただける企業を募集しています。
- 株式会社ラック
「インバウンドを誘致するためのスマホアプリの実現」
株式会社ラックは、日本国内のサイバーセキュリティサービス事業のパイオニアとして活動しており、現在は地域創生活動にも積極的に参加しています。2018年度より新規事業開発部を創設し、新たな市場開拓、事業開発、スタートアップ創出、産学連携からの事業創出や地域創生に取り組んでいます。
近年、訪日・訪都外国人の数は大幅に増加傾向にありますが、訪日及び周遊における課題として、特に旅行中の目的地探索や移動の支援を可能とする情報提供ツールの不足が挙げられます。そこで、インバウンドを対象とした多言語対応及び、観光地予約・移動手段の探索が可能なスマホアプリを構築することを目指し、プロダクト開発にご協力いただける企業を募集しています。
- 株式会社ファミリマート クリエイティブオフィス&8
「コンビニエンスストアのアセットを活用した新たな価値創造」
株式会社ファミリーマートでは、コンビニエンスストア事業の基盤強化と、その基盤を活用した新規ビジネス拡大による「新しい成長の好循環」の創出を目指しています。同社はこれまでにも店舗運営に寄与する取り組みとして、アプリ「ファミペイ」やデジタルサイネージ「FamilyMartVision」、無人決済店舗等、多数の取り組みを実施してきましたが、今後も、革新的なサービスやプロダクトの活用により、「①更なる利便性の向上」「②店舗の売上拡大」「③業務削減・効率化」「④社会課題の解決」といった価値の創出を図ることを目指しています。そこで、観光・レジャー分野において、店内や駐車場といった拠点を活用したサービスや、訪日外国人向けの情報発信に関して、共創いただける企業を募集しています。
- パーソルテンプスタッフ株式会社
「人と街を『はたらく』でつなげる」
パーソルテンプスタッフ株式会社は、人材派遣をメインとし、人材紹介や業務委託等、様々な角度で人材支援を行っています。現在ではこれまでのサービスに加え、外国人の雇用支援を専門とするGlobal Job Officeや、専門性が高くかつ柔軟性の高い働き方を希望する人材の派遣に取り組むFlexibleCAREER、リモート形式で各種業務に対応するRemote Taskerといった、現在のトレンドに合わせた新しい人材サービスにも取り組んでいます。今回、「観光・レジャー」に関連し、デジタル人材の育成・活用を通じた、観光業界の経営の効率化や生産性向上等に向けた取組を検討しており、DX人材育成に関する支援ナレッジを有する事業者との連携を目指しています。また、インバウンドが増加する中、多言語対応可能な外国人人材や主婦層等の育成・活用を通じて、多摩地域におけるインバウンド対応の強化支援に関する取組も検討しており、外国人人材の雇用管理やサポートに関するナレッジを有する事業者との連携を希望しています。
- 東日本旅客鉄道株式会社 JR八王子支社
「Beyond Tourism, Beyond Stations~多摩からイノベーションを~」
東日本旅客鉄道株式会社では、「データの共同活用」や「実証実験等のフィールド活用」により、外部との連携をさらに拡大し、すべての人の「心豊かな生活の実現につなげる。」ことを目指しています。八王子支社は、首都圏への大動脈である中央線を中心に東京多摩エリア・山梨がフィールドとなっています。これまでにJR東日本スタートアッププログラムを通じて、利便性の向上や快適な移動の創造、地域活性化、社会課題等、協業による多様な取り組みを推進してきました。多摩エリアにおいても、沿線まるごとホテルや交通空白地帯での二次交通の導入等、取り組みを進めています。
そこで、社会課題・JR課題を捉え、「これまでの駅の概念を超える」や「観光を超える、変える」取り組みの実現に向け、そうした発想や技術を有する企業との共創を希望しています。
交流会
最後に、登壇者と参加者、また参加者同士による交流会を実施しました。登壇した5社ごとにブースを設置し、参加者が登壇者に対して自社のソリューションの紹介や今後の共創に向けた具体的な議論が交わされました。各ブースともに、大変多くの方が集まり、積極的な意見交換が行われました。
また、参加者の方々はホワイトボードに貼られた、名刺と事業内容を記載したコメントカードを参考に、関心がある他の参加者と名刺交換や自社の紹介等、各々交流され、大きな盛り上がりを見せました。
参加者の意見
ご参加いただいた方の声を一部ご紹介いたします。
・これまでにない業種の企業との出会いの機会となりました(スタートアップ)
・ご登壇企業による過去の共創事例についてもご紹介いただいたことで、自社事業との連携可能性について具体的なイメージがわきました(スタートアップ)
・企業の課題やニーズを知ることで、そのニーズに合わせた提案やプレゼンのブラッシュアップを図っていきたいです(中小企業)
多くの方にご満足いただけるイベントとなりました。
本年度も多数のイベントを開催していきますので、ご関心のある方は是非ご入会ください!
今後のイベントスケジュール
https://tama-innovation-ecosystem.jp/event/workshop-2024/3106/
コミュニティの入会概要と申し込みページ
https://tama-innovation-ecosystem.jp/community/