東工大発のAIベンチャー。独自の技術「SOINN」で世界に挑む! | 多摩イノベーションエコシステム促進事業
東工大発のAIベンチャー。独自の技術「SOINN」で世界に挑む!

東工大発のAIベンチャー。独自の技術「SOINN」で世界に挑む!

SOINN株式会社 代表取締役 CEO 長谷川 修

本事業では、地域内外の中小企業・スタートアップや大企業、大学等が連携して、地域の課題解決を図るためのプロジェクトや、多様な主体が交流できる会員組織(コミュニティ)の立ち上げなど、イノベーション創出に向けた取組を進めています。
このインタビュー連載では、多摩地域のイノベーションをリードする注目企業をご紹介することで、皆様に多摩地域の魅力を発信していきます。

人工知能(AI)の技術は、Apple社の「Siri」に代表される音声認識や、自動掃除ロボットのような家電に活用されるなど、近年、私たちの生活にとって身近な存在になっています。「SOINN株式会社」は、最新のテクノロジーを武器に多摩の地から日本を、世界を変えようと果敢に挑戦を続けているITベンチャーです。東京工業大学の元准教授でもある長谷川修代表取締役CEOに、創業の経緯やSOINNの強みなどについて話を聞きました。

インタビューにお答え頂いた長谷川CEO

独自のAI技術「SOINN」の優れた特長

社名にも冠している「SOINN」とはどのような技術なのでしょうか

長谷川:SOINNとは私が東工大時代に開発した機械学習手法の名称です。機械学習とは、コンピューターが自ら学習し、予測をする技術です。代表的な手法としてディープラーニング(深層学習)が挙げられますが、SOINNは原理的にそれとは異なる特長を持っています。ディープラーニングが人間の目の機能をモデル化した手法だとしたら、SOINNは記憶を司る脳の機能をモデル化しています。人間の脳が必要な情報だけを取捨選択して記憶として残すように、SOINNも必要なものだけを残して不要な情報は上手に忘れます。この特長により、軽量で高精度、かつ操作も簡単という独自性を実現することができました。最近では、小型のチップ上で学習・推論を行うAIを開発しました。近い将来、私たちの生活に身近な家電製品にこのAIチップが搭載される時代も来るでしょう。

スマホアプリから大規模プラントまで、様々な分野で幅広く活用

SOINNは実際に、どのような分野で活用されていますか

長谷川:例えば、スマートフォンのアプリに組み込んで持ち主専用のAIを育てていくコンパクトなものから、ドローンやロボットの制御、さらには広域災害予測といった大規模な事業まで幅広く展開しています。最近の実績として一例を挙げますと、ある重工メーカーのゴミ処理発電プラントの自動化を手がけました。ゴミにも燃えやすいものや雨で濡れて燃えにくいものなどバラつきがあります。発電のために必要な量だけをうまく制御して燃やすには、ベテラン社員の方々の経験が必要になります。彼らの知見をAIが学習し模倣することで、自動化が可能になりました。実際に2021年から操業運転が始まり、拠点数を増やす計画もあるようです。

SOINNは産業用ロボットにも広く使われている

学生たちとの幸せな日々。SOINN誕生秘話

学生たちとの幸せな日々。SOINN誕生秘話

長谷川:私が研究していた従来の学習モデルは莫大なデータが必要だったり、融通が効かなかったりと、実用性に乏しい一面がありました。もっと柔軟性の高い学習モデルを作れないかと、電子技術総合研究所に所属していた90年代からずっと考えていました。その構想が一気に前進したきっかけは、東工大の学生たちの存在です。02年に東工大で教鞭を執るようになると、学生たちが私の考えに興味を持ってくれました。海外の文献を調べてきてくれたり、プログラムを組んで可視化してくれたりするなど、一緒に研究をするようになりました。柔軟で熱意のある学生たちと議論を交わしながらSOINNを作り上げていき、06年に最初の論文を出しました。とても楽しく、充実した日々でした。

研究者から経営者へ、華麗なる転身

研究者として成果を出されてきたなかで、14年にSOINN株式会社を創業されています。なぜリスクをとって起業されたのでしょうか

長谷川:カメラや自動車、ゲームは日本企業の製品が多いものの、ソフトウェア業界は海外製が優勢です。でも、SOINNなら勝負できる。特許も成立していましたし、世界的にも特色のある技術ですので、挑戦してみようと思いました。

米軍も視察に来られたとか

長谷川:驚きました。研究費を支援したいとの申し出がありましたが、同盟国とはいえ、国立大学で米軍の研究をするのは国とのコンセンサスが取れないので辞退しました。いまはだいぶ考え方も変わってきているようですが、少し時代が早すぎましたね。

インタビュー中の長谷川 修 代表取締役CEO

オンリーワンの技術力。独創性こそが生きる道

「困難な道でも独創性を重んじる」と常々おっしゃられています

長谷川:その価値観は大切にしています。世の中には既存の手法だけでは解決できない問題が多く存在しています。文献やインターネットである程度のことは調べられても、そこから先にブレークスルーするには独創的な発想や新しい技術が必要です。我々の強みはそういう部分にあると思います。日頃から新しい技術をキャッチアップし、上を目指す社風はとても大事です。自分たちにしかできない技術があれば、我々のようなベンチャー企業でも価格競争に巻き込まれずに生き残っていけると考えています。

CTOはプリンターメーカーの元エンジニア

御社ではどのような人材が活躍されていますか

長谷川:弊社には物理学を学んできた方が多く所属しています。情報系の出身でなくとも、理論とデータ分析を学んできた方は論理的思考が鍛えられていますので、データと現象を結び付けて考える素養があります。今のCTOの井加田(氏)も物理学出身で、もともとはキヤノンでエンジニアをしていた方でもあります。

多摩地域の豊かな環境が思考を育む

多摩地域にオフィスを構えられている理由は?

長谷川:東工大のキャンパスがすずかけ台駅(町田市)の近くにあり、創業当初は大学内にあるレンタルオフィスに入居していました。大学を辞めるにあたり、ひと駅となりにある現在のオフィスに移転してきました。町田に来てから20年が経ち、子どもはすっかり町田っ子です。私の地元は埼玉県ですが、このあたりは少し行けば海が近いですし、自然も残っています。集中して物事を考えるにはとても良い環境です。

ベテラン農家の知見が、商材に生まれ変わる可能性

多摩地域の企業と連携して、シナジー効果を生むような事業の構想はありますか

長谷川:例えば、おいしいトマトを作るベテラン農家さんがいたとします。その方の知見を学習したAIを使えば同じようにおいしいトマトを作れるようになるとしたら、そのAI自体が商材になります。教えた方にもロイヤリティが入るような仕組みを作れば、農家の方の新たな収入にもつながるのではないでしょうか。我々の強みはデータ分析とAIですので、実業をされていてデータを持っている企業様でしたら、お役に立てることはあると思います。

AIに国境はない。ネット販売でSOINNを世界に広める

ゆくゆくは世界に進出したいですか

長谷川:それはやっていきたいですね。我々のAIは非常にコンパクトなので、インターネットからダウンロードして使うことができます。じつはすでにAIのネット販売サイトを作っていて、英語にさえすれば海外でも販売できます。輸出にあたるため注意が必要な国もあるのですが、クレジットカード決済ができれば販売できる体制は整っています。使い方やメリットを十分に認知いただくような仕組みを作るなど、まだまだ改善しなければいけない部分はありますが、海外にもどんどん販売していきたいです。

世界に向けて販売するため、インターネットで簡単に購入できるサイトを構築

会社情報

会社名 SOINN株式会社
設立 2014年7月
本社所在地 〒194-0004 東京都町田市鶴間8丁目4−30 クレインドビル 405
ウェブサイト https://soinn.com/
事業内容 特許技術「人工脳SOINN®」を含むあらゆる AI 技術を駆使することで、法人・個人を問わず誰もが簡単・納得・安心して使える AI の開発と普及を推進している。現在の注力分野は、各種の機器や装置、ロボット、プラントを対象とした汎用AI、エッジAI。顧客のニーズを丁寧にヒアリングすることで、コスト、機能、性能、運用のトータルバランスに優れたベストなソリューションが提供できる。新規はもちろん、これまでAI化を諦めていたタスクも高確率で解決する。

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