ベンチャー企業と大企業の事業提携を生み出すことを目的としたピッチイベント「Morning Pitch」にて、2023年2月16日(木)に「多摩イノベーションエコシステム促進事業」コラボ特集が開催されました。当事業のリーディングプロジェクトに参加している企業5社が登壇し、会場およびリモートあわせて200名超の事業会社担当者、投資家等の方々が観覧されました。
この報告では、当日のイベントの様子を紹介します。
※本イベントは、入場時の消毒、会話時のマスク着用など、各種衛生対策を実施して開催しております。
ピッチ①:「沿線を「まるごと」楽しめるホテルのようなサービスを創出」
線まるごと株式会社 代表取締役 嶋田俊平氏
ローカル沿線の地域活性化を目指しJR東日本との共同出資により会社を設立したこと、東京・青梅線沿線の無人駅を「ホテルフロント」と位置づけ、古民家を「客室」として改修、地域住民とともに接客・運営を行うことで「沿線まるごとホテル」の世界観を構築し、新たな滞在型観光、マイクロツーリズムの創出を図っていること、2040年までに全国30路線での事業展開が目標であることなどを説明されました。
質疑応答では、このビジネスを成功させるための地域住民とのコンセンサスの取り方や、無人駅でチェックインさせる理由を問われ、住民に地道に語り掛けていくことで協力を得ること、都市型ホテルでは味わえない体験・ホスピタリティを付加価値としていることを回答されました。
◆リーディングプロジェクト「奥多摩エリアの⼭間観光地における二次交通サービスの検証」
https://tama-innovation-ecosystem.jp/project/sightseeing/389/
ピッチ②:「心のケアが当たり前になる社会を」
株式会社BANSO-CO 土井理美氏
厚生労働省の調査によると“仕事により強い不安やストレスを感じている人のうち、実際に専門家に相談したのは1割程度”という状況に対し、隙間時間に好きな場所からオンラインによる相談が可能な、心理士や理学療法士などの専門家との連携による心と身体のトータルケアが行えるサービスを展開していることを説明されました。
質疑応答では、一般的なEAP(従業員支援プログラム)業者との違いを問われ、ストレスチェックなどにより心の問題を抱える利用者を抽出するサービスに留まる業者が多いのに対し、利用者に対するケアを含めたサービスを提供できる点を挙げられていました。今後の他分野の技術との共創については、メタバース・ゲームなどを通じて、知らないうちに心のケアができるような取組みも進めていきたい旨を回答されました。
◆リーディングプロジェクト「子育て世代を対象とした心と体のトータルケアサービスの検証」
https://tama-innovation-ecosystem.jp/project/healthcare/393/
ピッチ③:「森林由来のボランタリークレジット・プラットフォーム事業を開発・提供」
アイフォレスト株式会社 代表取締役CEO 丸山孝明氏
国内林業は、木材価格の安さや林業事業者の赤字、従事者の減少といった課題を抱えており、森林破壊、河川の氾濫など市民生活に大きな影響を及ぼす問題に繋がる可能性があります。こうした課題の解決に向けて、森林への持続的な資金循環を作ることを目指し、民間クレジットである「ボランタリークレジット」プラットフォームを構築していること、人工林の市場において2040年にはシェア5%を目指していることを説明されました。
質疑応答では、競合優位性について、自動でクレジット化する技術を開発しており、リモートセンシングやブロックチェーン技術を組み合わせられる点を強みとして挙げられたほか、ビジネス展開は国内のみをイメージしているのかという質問に対しては、海外のルールにも従うことができるよう設計をしていく想定である旨を回答されました。
◆リーディングプロジェクト「多摩産の廃棄用等木くずを活用した新素材および製品の開発」
https://tama-innovation-ecosystem.jp/project/environmental/396/
ピッチ④:「EC増加による物流の課題解決に挑戦する国立大学電気通信大学発ベンチャー」
株式会社B-STORM 代表取締役社長 羽方将之氏
「日本のメーカーを応援する」ため電気通信大学発ベンチャーとして立ち上がり、年々ニーズが増しているEC物流においてDX化が進んでいない状況に対するソリューションとして、アルゴリズムを使い最短の物流倉庫内歩行ルートを算出できる”マルチピッキングカート”や、独自システムにより低電力で動作可能かつどこでも設置可能な”無線DAS/DPS表示システム”の開発に取り組んでいることをピッチしていただきました。
質疑応答では、製品を利用した顧客の感想として、操作が容易である点、残業時間やピッキングミスの削減に繋がった点、伝票の効率的かつ適切な自動配分が可能である点などが評価されていることを回答されました。また、協業ニーズについて問われた際は、“海外製の高価なシステムには手を出しづらい中小企業の課題を解決する”という観点でソューション開発を共に行える会社と協業していきたい旨を回答されました。
◆リーディングプロジェクト「自動走行搬送型ロボット(AMR)を活用した物流倉庫におけるカートピッキングシステムの検証」
https://tama-innovation-ecosystem.jp/project/logistics/388/
ピッチ⑤:「家族の今も未来も幸せにするため、アバターロボット「ChiCaRo」を開発」
株式会社ChiCaRo 代表取締役社長 奥温子氏
「自分の時間がないこと」「不安感」といった子育てのストレス要因を取り除くソリューションとして、遠方にいる祖父母や保育士がリモートで子供とコミュニケーションを取ることが可能なロボット「ChiCaRo」を開発していること、導入した家庭では子育てによるストレスが60%軽減したほか、子どもの成長発達スコアも上昇したという結果が出ていることなどを説明されました。
質疑応答では、スマホやパソコンでのビデオチャットツールとの違いとして、幼い子供でも30分~1時間といった長時間通話に集中することが可能である点を回答されました。また、協業事例についての質問に対し、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクト内での発達支援や、渋谷区の保育園における実証実験などの協業事例について紹介されました。
◆リーディングプロジェクト「アバターロボットを活用した遠隔保育サービスの検証」
https://tama-innovation-ecosystem.jp/project/education/387/
------------------------------------------------------------------------------------
イベント終了後も、会場では登壇者と観覧企業の皆様による交流・意見交換がされており、新たな協業のきっかけとなりうるイベントでした。
■コミュニティの入会概要と申し込みページ
https://tama-innovation-ecosystem.jp/community/
■コミュニティで今後予定しているイベント
https://tama-innovation-ecosystem.jp/event/